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半空
「半空〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
半空の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
の眼の前が、ぎらぎらと凄まじい薄紫《うすむらさき》になった。山が、雲が、湖が皆|
半空《はんくう》に浮んで見えた。同時に地軸《ちじく》も砕けたような、落雷の音が耳....
「二百十日」より 著者:夏目漱石
とに、圭さんは、黙然《もくねん》と、眉《まゆ》を軒《あ》げて、奈落《ならく》から
半空に向って、真直《まっすぐ》に立つ火の柱を見詰めていた。 四 ....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
ある葉裏に、三藐三菩提《さまくさぼだい》の仏達を埋め尽くして、森々《しんしん》と
半空に聳《そび》ゆるは、伝教大師《でんぎょうだいし》以来の杉である。甲野さんはた....
「草枕」より 著者:夏目漱石
半分|溶《と》けた花の海は霞《かすみ》のなかに果《はて》しなく広がって、見上げる
半空《はんくう》には崢※《そうこう》たる一|峰《ぽう》が半腹《はんぷく》から微《....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
八日 ◯第四十一回目の大詔奉戴日。主婦之友の安居氏来宅中に警戒警報が出て、十一時
半空襲警報となる。B29、十数機と、そのあとP51、六、七十機が来襲した。 千....
「余興」より 著者:森鴎外
、主のない座布団を占領した。戸は悉く明け放ってある。国技館の電燈がまばゆいように
半空に赫いている。 座敷を見渡すに、同郷人とは云いながら、見識った顔は少い。貴....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
浜に来りて足をとゞめぬ。
虹汀此の所の形相を見て思ふやう。此地、北に愛宕の霊山
半空に聳えつゝ、南方|背振、雷山、浮岳の諸名山と雲烟を連ねたり。万頃の豊田|眼路....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
るポートランド市の如く、レイニーア火山を高聳させるシアトル市の如く、富士山を西の
半空に、君臨させるところに存すると考えられる。帰朝以来の第一登山に、いずれの山谷....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、お前たち、何をむくむくと動いているのだ。何、背くらべをしている!」 大菩薩は
半空に腰をかがめて、まだ半ば混沌《こんとん》たる地上の雲を掻《か》き分けると、二....
「細木香以」より 著者:森鴎外
歳で江の島、鎌倉を廻った紀行の草稿であったらしい。 崖の上の小家の址は、今は過
半空地になっている。大正四年に母が七十の賀をする代に、部屋を建てて貰いたいと云っ....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
ついてあった。ふたりは一生けんめいに、上辺のなわを切りはなした。帆は風にまかせて
半空にひるがえった。ふたりはようやくそれをつかんで、下から四、五尺までの高さに帆....
「殺人迷路」より 著者:夢野久作
オンサインに魘え魘えよろめいて行くうちに、余程長いこと歩いたのであろう。眼の前の
半空に大きく「あづま日報社」と輝き現わした三色のネオンサインの交錯を仰いだ。その....
「西航日録」より 著者:井上円了
キー山嶺にかかる。すなわち一律を賦す。 洛山深処暁冥冥、雲影侵窓夢忽醒、残雪懸天
半空白、老杉繞水一渓青、絶無人跡渾蕭颯、唯有風光自秀霊、今夕不知何処宿、鉄車直下....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
度北方にあり。蚊なく蠅多きなどは、すべてわが飛騨山中の夏時に異ならず。 渓辺有雪
半空欹。 (谷間に道があり、遊歩するによく、眺めつつたち切れた橋に至るも歩行はお....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
ことができる。屋根の上の空は鉛色に重く垂下って、星も見えず、表通のネオンサインに
半空《なかぞら》までも薄赤く染められているのが、蒸暑い夜を一層蒸暑くしている。お....