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半纏着
「半纏着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
半纏着の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、鬢をちょいと掻きながら、袖を女中の肩に当てて、 「お前もやっぱり言うんだもの、
半纏着た奥様が、江戸に在るものかね。」 「だって、ねえ、めのさん。」 とお源は....
「東京要塞」より 著者:海野十三
窶しい身なりをしている。 大道も狭いと云わんばかりに蹣跚いてゆく酔漢の背後に、
半纏着の男はつつと迫っていった。 「あっ、な、なにをする――」 と酔漢が愕きの....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
道へついて左へ折曲ろうとする角家の小店の前に、雑貨らしい箱車を置いて休んでいた、
半纏着の若い男は、軒の藤を潜りながら、向うから声を掛けた。「どこへ行くだ、辰さん....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ら開ける。 「ええ、吃驚すら。」 「今晩は、――饂飩六ツ急いでな。」と草履穿きの
半纏着、背中へ白く月を浴びて、赤い鼻をぬいと出す。 「へい。」と筒抜けの高調子で....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
ことなんて、そりゃなかったんでしょうけれど、ほんに思えば思わるるとやらだわね。」
半纏着の蘭菊は、指のさきで、火鉢の縁へちょいと当って、 「お稲ちゃんの方でも、嬉....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
く標の残った、縁日果てた番町|通。なだれに帯板へ下りようとする角の処で、頬被した
半纏着が一人、右側の廂が下った小家の軒下暗い中から、ひたひたと草履で出た。 声....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
。」 「隠居さん、一つお買いなすっちゃどうです。」 と唐突に云った。土方|体の
半纏着が一人、床几は奥にも空いたのに、婆さんの居る腰掛を小楯に踞んで、梨の皮を剥....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
られぬ。 「しのぶさん、お火鉢。」 「あい。」と云いしが※して、土間より立ったる
半纏着の壮佼を麾き、 「ちょいと、火鉢をね。」 「おい。」とこちら向く。その土間....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
取、芸人を引張込んで雲井を吹かす、酒を飲む、骨牌を弄ぶ、爪弾を遣る、洗髪の意気な
半纏着で、晩方からふいと家を出ては帰らないという風。 滝太郎の祖父は母親には継....
「魔像」より 著者:林不忘
かと思っておりますよ」 「何を二人で感心しておるのだ。口の利きようでみると、その
半纏着《はんてんぎ》のやつは、武士のようだが――」 「いかにも、拙者は武士でござ....
「小曲」より 著者:橋本五郎
。 が三時間たって、田中君は馬鹿々々しいこの物語の結末に逢着した。 二人の、
半纏着の人間が、その門の前までやって来て、行くのか帰るのか、例の轍の穴を指しなが....
「遁走」より 著者:葛西善蔵
釣堀の方へと歩いた。樹木の茂った丘の崖下の低地の池のまわりには、今日も常連らしい
半纏着の男や、親方らしい年輩の男や、番頭らしい男やが五六人、釣竿を側にして板の台....
「春心」より 著者:田中貢太郎
上には鳥の柔毛が浮んでいた。右の方の横手の入口に近い処に小さな稲荷の祠があって、
半纏着の中年の男がその前に蹲んでいた。広巳は鵜に興味がなくなったので、天水桶の傍....