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「半輪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

半輪の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
しもうた家《や》ばかり続いている、人気《ひとけ》のない町を歩いて来た。町の上には半輪の月が、霜の下りた家々の屋根へ、寒い光を流していた。牧野はその光の中へ、時々....
自転車日記」より 著者:夏目漱石
、と心細いこと限りなし、ああ吾事休矣《わがこときゅうす》いくらしがみついても車は半輪転もしないああ吾事休矣としきりに感投詞を繰り返して暗に助勢を嘆願する、かくあ....
妖術」より 著者:泉鏡花
浮いた鯨のごとく、池の中を切劃って浮く。 空は晴れて、霞が渡って、黄金のような半輪の月が、薄りと、淡い紫の羅の樹立の影を、星を鏤めた大松明のごとく、電燈ととも....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
中にも見えた。遠い方は暗く、木立も黒く、何となく深く静かに物寂しい。 宵の月は半輪で、冴えてはいたが、光は薄かった。私達が辿って行く道は松かげに成って暗かった....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ったりと抱き締めて、 「御覧なさい、お月様が、あれ、仏様が。」 忘れはしない、半輪の五日の月が黒雲を下りるように、荘厳なる銀杏の枝に、梢さがりに掛ったのが、可....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
に水車、また第三の水車、第四、第五と続いたのが見えます。流の折曲る処に、第六のが半輪の月形に覗いていました。――見る内に、その第一の水車の歯へ、一輪紅椿が引掛っ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
を吟じましょう、今のその渝州《ゆしゅう》に下るを一つ……」 峨眉《がび》山月、半輪ノ秋 影ハ平羌《へいきやう》、江水ニ入《い》ツテ流ル 夜、清渓ヲ発シテ三峡《....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
で、外出もやかましくいったのかも知れないが―― 釜鬼は、塀や壁を後にして、土に半輪《はんわ》を描き、鬼が輪の中に番をしていて、みんな下駄を片っぽずつ奥の方へ並....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
けれど、饑饉|年の記念だから、行列が通るのに、四角な行燈も肩を円くして、地蔵前を半輪によけつつ通った。……そのあとへ、人魂が一つ離れたように、提灯の松の下、小按....
父の形見」より 著者:豊島与志雄
ら中声で詩を吟じた。 霜満軍営秋気清……云々 鞭声粛粛夜過河……云々 蛾眉山月半輪秋……云々 月落烏啼霜満天……云々 高原弔古古墳前……云々 そんな詩を父....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
ところに次の機会が期待される。車やんまというのは虎やんまに似ていたが尾の先に車の半輪のような格好をした鰭がついている。特性としては、物干の柱に立てた丸太のてっぺ....
清心庵」より 著者:泉鏡花
兆なり。 小笹ざわざわと音したれば、ふと頭を擡げて見ぬ。 やや光の増し来れる半輪の月を背に、黒き姿して薪をば小脇にかかえ、崖よりぬッくと出でて、薄原に顕れし....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
の峰の森から、釣鐘堂の屋根に、霧を辷って来たような落葉の褥を敷いた、青い光明は、半輪の月である。 枯葎を手探りで、墓から迷って出たように、なお夢心地で、潜門を....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
なる。終日、風をつきて西走す。晩来また驟雨あり。夜に入れば天涯一片の雲なく、ただ半輪の孤月の高く北天に懸かるを望むのみ。満懐雄壮を覚え、快極まりなし。 六旬不。....