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半鐘
「半鐘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
半鐘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「火事とポチ」より 著者:有島武郎
でわめき合う人の声がした。そしてポチの気ちがいのように鳴く声が。
町の方からは
半鐘《はんしょう》も鳴らないし、ポンプも来ない。ぼくはもうすっかり焼けてしまうと....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
父の方からだんだんに吹きおろして来た。その九月の末から十月の初めにかけて、町内の
半鐘がときどき鳴った。 「そら、火事だ」 あわてて駈け出した人々は、どこにも煙....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
用のことに口を出すな」 叱り付けて、半七はしばらく考えた。猿芝居の猿が火の見の
半鐘を撞いて世間をさわがした実例は、彼の記憶にまだ新しく残っている。しかし猿が刃....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
二分殖えたのと騒いでいたのを覚えている。それから夜は目を覚ますと、絶えずどこかの
半鐘が鳴りつづけていたのを覚えている。 三一 答案 確か小学校の二、....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
た。 電灯が消えると、俄かに聴力が鋭敏になったのだった。いままで聞こえなかった
半鐘の音が、サイレンに交って、遠近いろいろの音色をあげていた。 「ジャーン、ジャ....
「蠅男」より 著者:海野十三
てニョッキリ聳えたっている一つの消防派出所の大櫓にピンづけになっていた。 あの
半鐘櫓は、そもいかなる秘密を語ろうとはする? 灰色の奇人館 「オーイ君、な....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
繰り込む。かくの如くにして、江戸っ子は次第に亡びてゆく。浪花節の寄席が繁昌する。
半鐘の火の見|梯子と云うものは、今は市中に跡を絶ったが、わたしの町内にも高い梯子....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
名七字が全然合点めなかった。 且此朝は四時半から目が覚めていた。火事があったら
半鐘の音ぐらい聞えそうなもんだったが、出火の報鐘さえ聞かなかった。怎うして焼けた....
「雷」より 著者:海野十三
が信じられないという風に、わざと黙っていた。 そのとき松吉は、傍にある真新しい
半鐘|梯子を指して、北鳴に云った。 「これを御覧なすって。これがこの一年間、儂に....
「空襲警報」より 著者:海野十三
この町の防空訓練のゆきとどいていることに感心していた。 そのとき、けたたましく
半鐘が鳴りだした。 「オヤッ……」 と思って、ふりかえってみると、火事だ。近く....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
れて、壁の蒼いのが処々。長い通りの突当りには、火の見の階子が、遠山の霧を破って、
半鐘の形|活けるがごとし。……火の用心さっさりやしょう、金棒の音に夜更けの景色。....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
。 頭痛がする、と楽屋へ横になったッきり、あとの事は知りません。道頓堀で、別に
半鐘を打たなかったから、あれなり、ぐしゃぐしゃと消えたんだろう。 その婦だ、呆....
「鐘ヶ淵」より 著者:岡本綺堂
村に換地をたまわって移転する時、寺の什物いっさいを船にのせて運ぶ途中、あやまって
半鐘を淵の底に沈めたので、そのところを鐘ヶ淵と呼ぶというのである。「江戸|砂子」....
「思い出草」より 著者:岡本綺堂
宿へ繰込む。かくの如くにして、江戸子は次第に亡びてゆく。浪花節の寄席が繁昌する。
半鐘の火の見梯子というものは、今は市中に跡を絶ったが、私の町内――二十二番地の角....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
橋のたもとに立って、りんを振っていると、汽車が走りながら鳴らすカランカランという
半鐘の音がきこえてくる。はだをさす寒風が吹きつのって手や顔はむしろ痛く、私が振る....