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半靴
「半靴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
半靴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
いた。
帰りついた玄関の靴脱《くつぬ》ぎ石の上には岡の細長い華車《きゃしゃ》な
半靴が脱ぎ捨てられていた。葉子は自分の部屋《へや》に行って懐中物などをしまって、....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
足らなかったからである。すなわち、鵞ペンが一束に、まだ白紙のままの公用紙が一帖、
半靴下が三足、ズボンからちぎれたぼたんが二つ三つ、それに読者諸君が先刻御承知の【....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
て、透綾《すきや》の羽織に、薩摩飛白《さつまがすり》の尻端折《しりっぱしょ》りの
半靴と云うこしらえで出てくる。着付けは陸軍の御用達《ごようたし》見たようだけれど....
「地球盗難」より 著者:海野十三
綱の他端を持って素早く自分の胴中に結ぶと、井戸端に駈けつけた。それからポンポンと
半靴を脱ぎ、井戸側に片足をかけた所で、首を廻して大隅学士の方をみた。 「ねえ……....
「橋の下」より 著者:ブウテフレデリック
ねえかしら。」 爺いさんはそれには構わずに、靴をぬぎはじめた。右の足には黄革の
半靴を穿《は》いている。左の足には磨り切れた、控鈕《ボタン》留の漆塗の長靴を穿い....
「露肆」より 著者:泉鏡花
道具屋は、あり来りで。近頃古靴を売る事は……長靴は烟突のごとく、すぽんと突立ち、
半靴は叱られた体に畏って、ごちゃごちゃと浮世の波に魚の漾う風情がある。 両側は....
「百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
ったことがある、初夏の頃であったと思うが、紺飛白《こんがすり》の筒袖を着て、古い
半靴を穿《は》いて東京を出て来た、湯島天神の石段を上りきって、第二の故郷の東京か....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
どを勝手に着ていて、フロッコートを着ている者は稀れであった。靴は多くゴム靴で随分
半靴などもあった。ましてや我々どもの服はいよいよ区々《まちまち》で、私はこの上京....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
いた。とくに念を入れた服装《みなり》をしていて、フランネルの服、派手な手袋、白の
半靴《はんぐつ》、薄青の襟飾《えりかざり》を結《ゆわ》えていた。手には小さな鞭《....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
すべりおりたことを。その時女は君の手につかまって叫んだであろう、「ああ、ま新しの
半靴なのに、こんなになってしまった!」
ところですぐに言ってしまえば、その愉快....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
の日がさの柄をいじってる手は、白い手袋を通していかにも繊細なことが察せられ、絹の
半靴はその足の小さいことを示していた。近くを通ると、その全身の粧《よそお》いから....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
く思った。父は彼女に決して何物をも拒まなかった。彼女はすぐに、帽子や長衣や肩衣や
半靴《はんぐつ》や袖口《そでぐち》やまた自分に似合う布地や色などに関するあらゆる....
「死因の疑問」より 著者:豊島与志雄
取り出されたのは、二十才前後の女の死体で、普通のスーツにオーバーをまとい、ゴムの
半靴をはいていた。髪は毛先だけパーマをかけ、顔立は可憐な丸みを持っていた。警察に....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
くとか、招待された時などは日本服が好都合で、履物はコルク裏の草履を用いましたが、
半靴を用いてもよいかと思います。 最後に申し述べたいのは彼の国における商人の地....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
かるみ》へぐっすり片足を踏み込み、驚いて立戻り、魚屋の軒燈《けんとう》をたよりに
半靴《はんぐつ》のどろを砂利《じゃり》と溝板《どぶいた》へなすりつけている。間も....