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「半音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

半音の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
古代国語の音韻に就いて」より 著者:橋本進吉
ようとすれば、その中のどれかを叩《たた》くより仕方がない。それ以外の音は出ない。半音ずつの違いによって一箇ずつキーが附いておりますが、それのどれかを使うより仕方....
河明り」より 著者:岡本かの子
引っかからないように、これ等の風物が何となく単調に感じられて眠気を誘われた。 「半音の入っていない自然というものは、眠いものね」 私は娘が頸を傾けて、も一度訊....
旅愁」より 著者:横光利一
ぬ氷河の底へ落ち込む虚無の音であった。音が消えてもまだ鳴りつづける幻聴となって、半音を響かせる絃の音に似ていた。矢代は空を仰いだ。日が照り輝いているのに、松柏を....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の小舟に乗って走った。櫂《かい》からしたたる水は、ささやかな琶音《アルペジオ》や半音階を奏した。乳色の靄《もや》が河の面《おも》に揺れていた。星がふるえていた。....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
的な激昂《げっこう》や管弦楽的な痙攣《けいれん》を装《よそお》い、あるいはまた、半音から常に発して、半ば眠りかけてる騾馬《らば》のように、滑《すべ》っこい坂の縁....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
とにある。言葉は簡潔で思想は貞節であることにある。思想を並べたてないことにある。半音にして了解する人々に向かって、男子に向かって、幼稚な誇張や女々《めめ》しい激....
津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
の音楽を奏している。ある時は複雑な沈鬱な混色ばかりが次から次へと排列されて一種の半音階的の旋律を表わしているのである。 このような色彩に対する敏感が津田君の日....
腐った蜉蝣」より 著者:蘭郁二郎
て聴けばそうも聞える、といった程度のものしか再現出来ないのです。これはピアノには半音しかないということが、その原因の第一だと思われます、だから私はその微妙なメロ....
雑文的雑文」より 著者:伊丹万作
これは絶対に必要なものである。もしもそんなものはいらないという監督がいたら試みに半音程調子の狂つた楽器を混えたオーケストラを、その人の前で演奏させてみればよい。....
だいこん」より 著者:久生十蘭
れば、あとはこのひとたちが立派にやってくれるでしょう」 歩廊をほのかな音のする半音のグロッケン・シュピールを叩いて歩く。耳がそのメロディに乗って主調音へさそわ....
妾宅」より 著者:永井荷風
き、言語にいい現し得ぬ複雑豊富なる美感の満足ではないか。しかもそれは軽く淡く快き半音|下《さが》った mineur《ミノウル》 の調子のものである。珍々先生は芸....