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卑俗
「卑俗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
卑俗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
る日を延ばした。明るい南の海の色や匂いはなにか私には荒々しく粗雑であった。その上
卑俗で薄汚い平野の眺めはすぐに私を倦かせてしまった。山や溪《たに》が鬩《せめ》ぎ....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
獄の三丁目、行きは良い良い帰りは怖い。と朝っぱらから唄うたが、間もなく軽部にその
卑俗性を理由に禁止された。 「浄瑠璃みたいな文学的要素がちょっともあれへん」と言....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
業のものも生活を談じ米塩を説いて少しも憚からず。然るに独り文人が之を口にする時は
卑俗視せられて、恰も文人に限りては労力の報酬を求むる権利が無いように看做されてる....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
婦人』などはどうかと思う。そしてその内容も、兄などの言うがごとくに、ただ没主義な
卑俗なものにしてしまうよりは、やはりその名の実をとって新婦人主義を標榜して貰いた....
「雨」より 著者:織田作之助
三丁目、行きはよいよい帰りは怖い」 と朝っぱらから唄うたが、間もなく軽部にその
卑俗性を理由に禁止された。 「浄瑠璃みたいな文学的要素がちょっともあれへん」 ....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
漠とした記事から記事へ殆機械的に眼を通した。が、その間も勿論あの小娘が、あたかも
卑俗な現実を人間にしたような面持ちで、私の前に坐っている事を絶えず意識せずにはい....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
養ある人物」に扮する時だけしか役に立たぬのではなく、むしろ却って、教養の低い、「
卑俗」ともいうべき役柄の人物において、遺憾なくその持ち前の力を発揮するということ....
「演劇への入口」より 著者:岸田国士
民衆の生活と欲求とを反映するものであるが、時として、それは、ゆがめられた政治や、
卑俗な商業主義によって、民衆自身の真の希望を裏切るようなものに堕落する。民衆はし....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
換うるにこれを以てせば、いかばかり家庭の品位を高め趣味的の娯楽が深からんに、躁狂
卑俗蕩々として風を為せる、徒に華族と称し大臣と称す、彼等の趣味程度を見よ、焉ぞ華....
「詩語としての日本語」より 著者:折口信夫
山正一さん以来、誰の詩にもそれを求める事が出来なかった。何よりも、その詩の音調の
卑俗な事は、たとい新体詩史をどんなに激賞しても、中西梅花・宮崎湖処子を尊敬させは....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
しかし、女性は美しければよい、という気持ちで描いたことは一度もない。 一点の
卑俗なところもなく、清澄な感じのする香り高い珠玉のような絵こそ私の念願とするとこ....
「審判」より 著者:カフカフランツ
開いたが、いかがわしい絵が出てきた。一組の男女が裸でソファにすわっており、画家の
卑俗な意図がはっきりうかがえたが、そのまずさ加減があまりにひどいので、結局は男と....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
、もって下賜されたる金額を償わんとするに急なるになんぞ劣らん、黄金と土地は、それ
卑俗に属す。されど愛と慈しみは、愛と慈しみ自身をもってせざれば、これを量るをえざ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
家の家格を擁護する。これは双刃の刀であって、新を求める者に対しては伝統がないから
卑俗だといってたたく武器となるが、自身に対しては「代々の撰集世々の歌仙、詠み残せ....
「雨」より 著者:織田作之助
は地獄の三丁目、行きはよい/\帰りは怖い、という彼女の愛唱の唄は軽部によってその
卑俗性の故に禁止された。浄瑠璃に見られるような文学性がないからね、と真面目にいい....