卑小[語句情報] » 卑小

「卑小〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

卑小の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
禁酒の心」より 著者:太宰治
て酒杯を粉砕すべきである。 日頃酒を好む者、いかにその精神、吝嗇《りんしょく》卑小《ひしょう》になりつつあるか、一升の配給酒の瓶《びん》に十五等分の目盛《めも....
富士」より 著者:岡本かの子
、それ等のものは一時にけし飛び、自分なるものを穴に横匍う蘆間の蟹のように畸形にも卑小に、また、経めぐって来た永い歳月を元へ投げ戻されてただ無力の一|孩児《がいじ....
魔法修行者」より 著者:幸田露伴
う。 従って魔法を分類したならば、哲学くさい幽玄高遠なものから、手づまのような卑小|浅陋なものまで、何程の種類と段階とがあるか知れない。 で、世界の魔法につ....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
た心の撓みにも事かいていた。臆病な彼の心は、次第に恥知らずになって、どうかすると卑小な見えのようなものも混ざって、引込みのつかないところまで釣りあげられてしまっ....
堕落論」より 著者:坂口安吾
も、堕落の平凡な跫音、ただ打ちよせる波のようなその当然な跫音に気づくとき、人為の卑小さ、人為によって保ち得た処女の純潔の卑小さなどは泡沫の如き虚しい幻像にすぎな....
白痴」より 著者:坂口安吾
はもう一つの超自然の運命、いわば天命のようにしか思われなかった。彼には然しもっと卑小な問題があった。それは驚くほど卑小な問題で、しかも眼の先に差迫り、常にちらつ....
日本文化私観」より 著者:坂口安吾
ろうかと想像し、夢の跡に多少の期待を持ったのだったが、これはスケールが言語道断に卑小にすぎて、ただ、直接に、俗悪そのものでしかなかった。全然、貧弱、貧困であった....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
でやしないや」 青天井が骨の髄まで泌みてゐる。夜の王様の構図の如き、蔑むべき、卑小きはまる、家庭の模倣にすぎないのである。たぶん彼女らには同じ日の繰り返しが堪....
母の上京」より 著者:坂口安吾
僧も時にはすりむいたであらう。然し、ヒロシがその胸にだきしめてゐる品格の灯はその卑小なる現身と交錯せず、彼はたぶんその現身の卑しさを自覚してはゐないのだ。彼は胸....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
スの声を聴いた。さてわたくしは気落ちから恢復して何を知ったろう。わたくしは自分の卑小を知って、その素質である凡俗に立返えるのを見た。 詩生活と日常生活の平衡が....
特攻隊に捧ぐ」より 著者:坂口安吾
長におされていた学生が発疹チフスのために殉職したという話をきいた。 私のごとく卑小な大人が蛇足する言葉は不要であろう。私の卑小さにも拘らず偉大なる魂は実在する....
文学的饒舌」より 著者:織田作之助
キリスト教は、これからの作家にとっての大問題だろう。僕は――といえば、急に問題が卑小化して恐縮だが、キリスト教はまだつかめぬが、キリスト教の信者(僕の知る限りだ....
チェーホフ試論」より 著者:神西清
ルには芸術の信仰が、モーパッサンには人間獣への復讐の快感が、わが国の私小説家には卑小の礼拝というまことに手頃な宗教が、それぞれ有力な支えをなしていたはずだ。 ....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
口を揃えて嘖々称讃したが、渠らの称讃は皆見当違いあるいは枝葉|末梢であって、凡近卑小の材を捉えて人生の機微を描こうとした作者の観照的態度に対して批判を加えた者は....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
な性質にもっとも背馳するもの――なにか深く計算された策略を撓みなく実践しろとか、卑小な狡さをときに応じて発揮しろなどということを奨めるのはもってのほかであった。....