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卑賤
「卑賤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
卑賤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
あった。彼は年中、 「俺は爪楊枝けずりの職人の息子だ」 と、昂然と言っていた。
卑賤に生れたが、それをかくそうとせず、卑屈な態度は少しもなかった。美貌だが、自分....
「化け物の進化」より 著者:寺田寅彦
くもなし、また血は少しもいでず、うんぬん」とあり、また名字正しき侍にはこの害なく
卑賤の者は金持ちでもあてられるなどと書いてある。ここにも時代の反映が出ていておも....
「生ける人形」より 著者:寺田寅彦
大いに笑い、たちまちにしてまた大いに泣くのである。こういう芸術を徳川時代の民間の
卑賤な芸人どもはちゃんと心得ていたわけである。 生まれてはじめて見た人形芝居一....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
、ただごく外部的・偶然的に、制約されるにしか過ぎない。――文化は高貴であり社会は
卑賤である、哲学の本質は――アテナイの貴族的哲学者達以来――この卑しい社会によっ....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
には賢こさも愚かさもないことを識った。したがって、有智と無智、真理と虚説、高貴と
卑賤とのあいだの犯すべからざる境界線は消え失せて、ただ無形の思想が空間にただよっ....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
います。」 「そうありたいものじゃな。」と叔父が言った。「高貴な者に対する憎悪は
卑賤な者の無意識の尊敬じゃ。」 「この辺のどこの土地にだって、」と甥は前と同じ語....
「炭焼長者譚」より 著者:喜田貞吉
による事で、或いはそれを平安朝頃の人と伝えている地方もあるらしいが、つまりは或る
卑賤な炭焼の下司男が、黄金を発見して俄かに富有になったという同一筋の出世譚で、そ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
くって高等種族であるということが着物の着方でも分る。
平民はその容貌、品格等が
卑賤でありますけれども、その性質はやや正直で盗心が盛大でない。平民はどんな貧乏に....
「西航日録」より 著者:井上円了
(遠く遺跡をたずねて蘭東部に入る。スピノザの像は海牙市街の中に立っている。彼は
卑賤より身をおこして碩学と称せられ、まさにスピノザ翁もまた一英雄たるを知るべきで....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
なくして道統を伝える者にとっては是非必要であったのであって、ことにその者の種姓が
卑賤である場合には、一層必要であったわけである。常縁・宗祇の時代に生れた古今伝授....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
にもなる。そうでなくても御家人・侍は四民の上に立って、「おおみたから」たる農民を
卑賤のもののように見下してしまう様になりました。しかしもともと武士には蝦夷すなわ....
「「特殊部落」と云う名称について」より 著者:喜田貞吉
たる「家人」の語も、実質さえ改まればそのままに立派な身分のものの名称となる。もと
卑賤の職掌の「侍」の語も、実質さえ改まればそのままにまた立派な身分のものの名称と....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
かない。彼らの中には薬屋だとか、桶屋だとか、野武士だとか、水呑百姓だとか云われた
卑賤の身分から起って、混乱時代の風雲に際会し、天下の政権を壟断するの地位を獲得し....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
ることは、必ずしも不可能とは言われない。それについて思い合わさるることは、中世に
卑賤の僧を指して羊僧嚢鈔』に、羊僧の語を解して、 口中に卑しと云心也。羊質など云....
「放免考」より 著者:喜田貞吉
ったに相違ない。その身分は最下級の警吏であったから、もちろんその服装の如きも簡易
卑賤のものであったに相違ない。しかるにそれが既に平安朝も末期に近い大江匡房の頃に....