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「卑近〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

卑近の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河明り」より 著者:岡本かの子
んだんその男と口を利き出すようになった。娘は、その男から先ず彼女に縁のある土地と卑近な興味の智識によって、東京生れの娘が今まで気付かずにいたものの、その実はいか....
恋愛曲線」より 著者:小酒井不木
に執着の強い心臓でも、外からエネルギーを仰がなければ、動き続けることは出来ない。卑近な言葉で言えば、食物が欠乏しては動けない。そこで通常この液の中へ、エネルギー....
軍用鼠」より 著者:海野十三
「鼠の顔(景品はターキーのプロマイド)娘々が大騒ぎ」の方が前者に比較して、ずっと卑近にして、而も相当今日の話題的材料を持ってきたところが勝れているのである。しか....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
茶碗や食卓、酒の壺、絵草紙や版画の類あるいは手織|木綿のきれ類といった如き日常の卑近なるものでありながら、その職人の熟練やその時代の美しい心がけなどがよく現れた....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
ガラス玉にすぎないが、しかしその宝玉もまた、本物の玉でなくガラス玉であるところの卑近なる宝玉であり、泥中の蓮でもある。 ガラス絵のよきものを探す興味はすなわち....
兄貴のような心持」より 著者:芥川竜之介
りの上で、自分よりも菊池の方が、余計苦労をしているからだろうと思う。だからもっと卑近な場合にしても、実生活上の問題を相談すると、誰よりも菊池がこっちの身になって....
『地球盗難』の作者の言葉」より 著者:海野十三
ついて自信を持っている。 『らんぷや御難』は「拓けゆく電気」に書いたもの。これは卑近な生活の中に、科学を織りこんだもので、これまた一つの型だと思っている。 『百....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
るべき健康なるわだちの上にあるものだ。過酷な自己犠牲や、没我的美的陶酔や、世相的卑近感や、又倫常の線を逸する心中もののようなものがあっても、全体としては人間の、....
良夜」より 著者:饗庭篁村
に、伯父は眉を顰め、「東京にて勉学の事は我も汝に望むところなり、しかしまだ早し、卑近なり」とて「字を知り語を覚ゆるだけの方便なり。今二三年は新潟にて英学をなしそ....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
いたようだ。けれども、自分の美化した想念に彼女を当てはめて陶酔し、彼女のきわめて卑近な現実から自分の知らない女を発見したり、彼女の心の裏の裏まで見てやりはしなか....
想像と装飾の美」より 著者:岸田劉生
ですっかり厚くぬりつぶしたり、モデリングをつけたり、遠近、光陰をつけたりするか。卑近にいえば、洋画に引かれているから。何故洋画に引かれているのかといえば、写実と....
遁走」より 著者:葛西善蔵
いうのである。こういう点では彼は平常からかなり細心な注意を払っていた。たとえば、卑近な例を挙げてみれば、彼は米琉の新しい揃いの着物を着ていても、帽子はというと何....
囚われたる現文壇」より 著者:小川未明
る。 本当の芸術は現在の生活から飛躍した生活を暗示するものでなくてはならない。卑近な眼界からヨリ遠い人間生活の視野を望ましめるものでなくてはならぬ。此の力を欠....
作家としての問題」より 著者:小川未明
ではありません。言い換えれば、このためにこそ文化機関の必要があると言えるのです。卑近の例を取って言えば、民衆を教育せんがために、多くの学校は建てられたのである。....
融和促進」より 著者:喜田貞吉
して排斥すべきものでないことを、明白に示しているではありませんか。 これはただ卑近の一例にすぎませんが、要するにエタとか非人とかいわれたものの起原は、まずざっ....