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南京虫
「南京虫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
南京虫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
びしょう》を浮かべている。奉天《ほうてん》から北京《ペキン》へ来る途中、寝台車の
南京虫《なんきんむし》に螫《さ》された時のほかはいつも微笑を浮かべている。しかも....
「橡の花」より 著者:梶井基次郎
れは何歳位だったか覚えませんが、自分の顔の醜いことを知った頃です。もう一つは家に
南京虫が湧《わ》いた時です。家全体が焼いてしまいたくなるのです。も一つは新らしい....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ますます獰猛、ほとんど狼にひとしいので、我々を恐れさせました。そのほかには、蝎、
南京虫、虱など、いずれも夜となく、昼となく、我々を悩ませました。蝎に螫されると命....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
床の上に毛布をのばして、ごった寝にねた。高粱稈のアンペラが破れかけていた。下から
南京虫がごそ/\と這い出してくる。
南京虫は、恐らく、硫黄や、黄燐くさい、栄養....
「獄中記」より 著者:大杉栄
の方がいい。 「裁判が済めばまず東京監獄へ送られる。門をはいるや否や、いつも僕は
南京虫のことを思って戦慄する。一夜のうちに少なくとも二、三十カ所は噛まれるのだも....
「天馬」より 著者:金史良
。そこで何気なしにそれに目をやったところ、紙の一つの襞《ひだ》の方を大きな一匹の
南京虫がのそのそ這い廻っているのを見て目を瞠《みは》った。思わず彼はにこりと笑い....
「毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
いって撒いても、効目がありません。もっとよく効く、目新らしいものがいいですなあ」
南京虫退治の新剤を探しているようなことをいう。 博士は、別段困った顔もせずに肯....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
ころなら一生はいっていてもいいと思うくらいだ。しかし警視庁はいやなところだった。
南京虫が多くてね。僕も左の耳を噛まれて、握拳大の瘤を出かした。三、四日の間はかゆ....
「九龍虫」より 著者:上村松園
何か秘訣でも?」 と訊ねると、 「大いにありますよ」 そう言ってお医者さんは
南京虫のようなものがうじゃうじゃうごめいている小さな箱をみせてくれた。 九龍虫....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
耐えないのであったが、これも身から出た錆と思えば、落魄の身の誰を怨まん者もなく、
南京虫と虱に悩まされ、濁酒と唐辛子を舐めずりながら、温突から温突へと放浪した。 ....
「昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
、俺のことを、七通りの呼び方で呼びやがった。「おい、屑!」「おい、蠅!」「おい、
南京虫!」「おい、蛆虫!」「おい、しらみ!」「おい、百足!」「おい、豚!」――何....
「西航日録」より 著者:井上円了
円八十銭)の旅宿料なり。しかるに、諺に「安かろう悪かろう」といえるがごとく、夜中
南京虫に攻められ、ほとんど安眠を得ざるには実に閉口せり。夕刻より街上の雑踏、コー....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
のできぬ場合には、ずいぶん臭気、鼻を襲い来たる。室内の掃除は一週間一回であるが、
南京虫のおらざりしは幸いであった。寝台は一室の四壁に、上下二段になりてできておる....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
くるので窒息せしめられるのかと感じていた。その上いつも、一晩五十匹、六十匹と捕る
南京虫が、相も変らず、猛烈に襲撃したものだから、身体中が膨れ上っていた。彼が火葬....
「芝、麻布」より 著者:小山内薫
と、今度はみんなが虫に刺された。二つずつ赤い跡がついて、ひどく痛むのである。 「
南京虫だ。」 誰かがそういい出した。そこいら、気をつけて見ると、柱でも床でも、....