南国[語句情報] »
南国
「南国〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
南国の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「屋上の狂人」より 著者:菊池寛
ゆ》いめぐらした竹垣に遮《さえ》ぎられて見えない。高い屋根ばかりが、初夏の濃緑な
南国の空を画《かぎ》っている。左手に海が光って見える。この家の長男なる義太郎は、....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
同じではないか。蘭類が温室で、人工の熱によって息づまる思いをしながら、なつかしい
南国の空を一目見たいとあてもなくあこがれているとだれが知っていよう。 花を理想....
「田原坂合戦」より 著者:菊池寛
あるのだから、天下の耳目を驚かせたのは当然である。 薩軍が鹿児島を発した日から
南国には珍らしい大雪となって、連日紛々として絶えず、肥後との国境たる大口の山路に....
「恐竜島」より 著者:海野十三
全なものであった。 「もうふたたび訪れることはあるまい」 飛行艇が出発する時、
南国の花で作られた花たばが、機上からなげられた。 島に建てられた四つの墓に捧《....
「毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
士が扉の向うで、さめざめと啜り泣くような声を聞いたと思ったが……。 4
南国の孤島において、醤委員長は、あいかわらずの裸身で、事務を執っていた。例の太い....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
ンスを想って原始なヂャバ土人の生活に楽しみ、時にはオクライナを吹いてはスペインの
南国情緒に陶酔もする、またクララ・キンベル・ヤングやロンチャニーも好愛し、五月信....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
泣く南の方へと朝晴れの空を急ぎました。このまめまめしい心よしの友だちがあたたかい
南国へ羽をのして行くすがたのなごりも王子は見る事もおできなさらず、おいたわしいお....
「初雪」より 著者:秋田滋
千里の眺めはないが、奇々妙々を極めた嶺岑をいくつとなく擁するその山姿は、いかにも
南国へ来たことを思わせる、うつくしい眺めであった。 頭を囘らして右のほうを望む....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
んど完全に吹き飛ばされ、天井板も吹きめくられてしまいました。 風雨が鎮まると、
南国の空は高く晴れて、俄かに秋らしい日和になりました。旅館では早速に職人をあつめ....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
、たがいに木石でない以上、何事かなければならない。ナエーアは、十二とはいえ早熟な
南国ではもう大人であり結婚期である。二人はだんだん、自然の慾求に打ち克てなくなっ....
「アッタレーア・プリンケプス」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
す。あの太陽や青空を、珍しい鳥や獣のすんでいる豊かな森を、あの砂漠を、あの妙なる
南国の夜を、思い出したのです。それからまた、自分は世界じゅうくまなくへめぐって見....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
郊外に吟詠の遊びをした。谷をみたす落葉は人の掃くこともなく散り敷いて、風も冷たい
南国の五月の秋である。) 十二日、曇り。海岸の風景を一望せんと欲し、車行してブ....
「煙突と柳」より 著者:小川未明
らんの花などが盛られて、それらの草花の香気も混じって、なんともいえない、ちょうど
南国の花園にいったときのような感じをさせるのであります。 私は、いろいろの人た....
「新童話論」より 著者:小川未明
かに自由であるといっても、現実に立脚するものです。北方の土地に生れた子供達には、
南国の自然や、生活は、たとい書物で見たり、話できいたりしても、真に分るものではな....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
のである。ほとんど境涯的にまで、そうした思無邪の旅ごころを飽満さしたかったのだ。
南国生れの私として、この念願は激しい一種の幻疾ですらあった。いまこそ私は年来の慾....