単線[語句情報] »
単線
「単線〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
単線の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「淫売婦」より 著者:葉山嘉樹
々《やや》暗くなった。 一方が公園で、一方が南京町《ナンキンまち》になっている
単線電車通りの丁字路の処まで私は来た。若し、ここで私をひどく驚かした者が無かった....
「路上」より 著者:梶井基次郎
でがMからだとEからの二倍も三倍もの時間がかかるのであった。電車はEとTとの間を
単線で往復している。閑《のどか》な線で、発車するまでの間を、車掌がその辺の子供と....
「廃墟から」より 著者:原民喜
ぜん》としたが、ふと舟入川口町の姉の家を見舞おうと思いついた。八丁堀から土橋まで
単線の電車があった。土橋から江波の方へ私は焼跡をたどった。焼け残りの電車が一台放....
「道標」より 著者:宮本百合子
までの長い散歩をした。
目抜き通りといっても、そこには小さい商店が並んで間遠な
単線の郊外電車が一本とおっているきりの小さいクラマールの町。電車通りから、だらだ....
「自然界の縞模様」より 著者:寺田寅彦
いろな不規律放射像の不規則さの様式特性が定まると考えられる、言わば規則正しい像は
単線スペクトルに当たり、不規則なのは一種の連続スペクトルあるいは帯状スペクトルに....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
れの野趣といっても、それがじつに殺風景でちょっと裏手に入れば野便所があり、電車は
単線で、所々に引込線が引かれ、筋向かいの豆腐屋の屋根のブリキ板が、風にあおられて....
「ばかな汽車」より 著者:豊島与志雄
い》で走ってきます。汽車です。汽車が向《むこ》うからくるんです。 そのへんは、
単線《たんせん》で、一筋《ひとすじ》の線路《せんろ》きりありませんでした。両方《....
「名古屋スケッチ」より 著者:小酒井不木
れるだけである。 汽車の煤煙で化粧された名古屋駅近くの明治橋を渡つて、一直線に
単線電車を凡そ十五分ほど乗ると、大門へ着くのだが、少し威勢のよい足なみで突き進む....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
の白い眼の細い頭髪を油で綺麗に分けた、なかなかの洒落者である。 山の手線はまだ
単線で客車の運転はホンのわずかなので、私たちの労働は外から見るほど忙しくはない。....
「恐ろしい東京」より 著者:夢野久作
着く頃だがハテ、何処の公園の中を通っているのか知らんと思って窓の外を覗いてみると
単線になっているのでイヨイヨ狼狽した。車掌に聞いてみると八王子へ行くのだという。....
「澪標」より 著者:外村繁
にあったし、二条駅も私の好きな場所であった。散歩の途次、私は二条駅の木柵に凭り、
単線のレールが鈍く光っているのを眺めながら、花園、嵯峨、保津峡、更に胡麻、和知、....
「紅梅の客」より 著者:吉川英治
疎開していた吉原村の茅屋へ、ある日ひょっこり珍しい客三人が訪ねてくれた。奥多摩の
単線電車は殺人的なものだし、進駐軍管内の立川をこえるだけでもたいへんな道中だった....