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「卯木〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

卯木の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
、落葉松、山榛の混合林が諸所に飛び飛びに立っているのが老人の歯が抜けたようだ。毒卯木の花が生白く咲き山葡萄の蔓が縦横に延び、雪崩の跡が断層を作し赤茶けた地肌を現....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
っている所だけが、生き生きと呼吸しているように見えるのも、蕾を沢山持った山吹が、卯木と一緒に、小丘のように盛り上がってい、その裾に、栗色の兎が、長い耳を捻るよう....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
が、後は徳大寺卿一人となった。「万端うまく行けばよいが」心にかかるようすである。卯木の花が咲いている。石榴の花が咲いている。泉水に水|禽でもいるのであろう、ハタ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ないのか、または急に嘘も出なかったのか、ふだん呼びなれているままに、 「家内は、卯木と申しまする」 と、彼は答えた。 「卯木どのか」 なんども、菊王は呟いて....
私本太平記」より 著者:吉川英治
子か」 「はい、久子でございます。めずらしいお方がただいま御門へ見えられました。卯木さまと仰っしゃるお妹さまが」 「え、卯木が来た?」 「これへおつれいたしまし....
私本太平記」より 著者:吉川英治
で聞いて、 「なぜ、ひと言、わらわにまで取次いではくれなかったのですか」 と、卯木が、家来どもの疎漏を悔やむと、良人の服部治郎左衛門元成も、 「それは、惜しか....
私本太平記」より 著者:吉川英治
った。 途々の正成は、初めて個人的な親しみをその迎えの者にみせて、 「治郎左。卯木は妊娠だと聞いていたが、この陣中暮らし、体のほうはどうなのか」 と、訊いた....
私本太平記」より 著者:吉川英治
の小屋か。生れたばかりのような嬰児の声がどこかでするが……。あれは?」 「お妹の卯木さまが、ついさき頃、御安産なされました。まだ産屋囲いのうちにお臥せりではござ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
洛中を見てあるき、東西の市ノ棚では、弟たちへの土産に、独楽を買った。また、母やら卯木への土産も買って、やがていそいそ、従者十騎と共に河内へ帰って行った。 折ふ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
か」 「いや何、古い里歌でもなさそうなと思ったまで。たれが作って教えたのか」 「卯木さまでございまする」 「卯木があの鞠歌を童たちへ教えたのか」 「はい」 「…....
私本太平記」より 著者:吉川英治
住んでいる仮面打ちの老人で――越前の遠くから移住してきた者だと、この道にくわしい卯木夫婦から聞いている。はじめにここへ彼を案内したのも、卯木の良人の治郎左衛門元....
私本太平記」より 著者:吉川英治
待ちしていたらと、そこでかように控えていた次第でございまする。……さ、元成どの、卯木どの」 「は、はい」 「つい自分ばかり喋っていましたが、いまこそです。さあ久....
随筆 私本太平記」より 著者:吉川英治
が平家とちがって、不風流でドライな古典人間史といっていい。そのため私は、藤夜叉、卯木、草心尼、正成の妻、高氏の妻、後醍醐をめぐる三人の妃などへも、創意をほしいま....