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印刻
「印刻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
印刻の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旅愁」より 著者:横光利一
が滲みついているのを感じた。そして、あれが日本を発つ前の、自分の痛苦懊悩の日日の
印刻かと思って懐しかった。彼は指頭で油の影を撫でてみた。
そのうちにまた別の新....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
象。その他数え立てればほとんど限りのない、いろいろな深い印象、というよりはむしろ
印刻が、死という問題についての僕の哲学を造りあげた。 実際僕は、最後に千葉監獄....
「遠い願い」より 著者:宮本百合子
こまれた評言の切れ端だって忘れてしまうことはないのだから、何につけ彼につけ、その
印刻は心のなかで揉まれほぐされ吟味されつづけて、その無言内奥の作業の果、遂に作家....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
けに砦の裂目を攀じ登って、自分の分捕品を持ち出した。それは量高の物ではなかった。
印刻が一つ二つ、鉛筆入れが一個、袖口ボタンが一組、それに安物の襟留めと、これだけ....
「都会の幽気」より 著者:豊島与志雄
もその濛気の中には、或る時或る瞬間の種々雑多な姿や意欲や匂いなどが、数限りもなく
印刻せられる。或る小路の角には、若い男が恋人を待って佇んだだろう。或る暗がりには....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
。そして黒枠《くろわく》のついた大きな封筒を彼に渡した。裏にはケリッヒ家の紋章が
印刻してあった。クリストフはそれを開いて、震えながら読んだ――まさしく次のとおり....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
う》貪欲《どんよく》な面影を刻み込むときには、その地金は変化することがあっても、
印刻はそのまま残るものである。もっともイタリー的らしく見えるそれらの相貌《そうぼ....
「省察」より 著者:デカルトルネ
ある。 そしてたしかに、神が私を創造するにあたって、ちょうど技術家が彼の作品に
印刻した自己のしるしであるかのように、この観念を私のうちに植えつけたということは....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
ろに印象した断片も決して無駄ではない。その時の霊の片鱗は童心の潜在意識にちゃんと
印刻されているのだ。そして後年ある契機にふれるとよみがえって来るのだ。 真理は....
「魔都」より 著者:久生十蘭
ういってことばを切ると、うっそりと面をあげ、
「総監、壁の上には一体どんなものが
印刻されていたとお思いになりますか?……犯人にとってははなはだ遺憾な結着ですが、....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
出してより一年有半、蒐集及整理|漸く終を告げ、今や本巻|並に之に続くべき第三巻を
印刻する運びとなれるは編者の最も喜ぶ所なり。如何と言ふに其間に昨年の大震大災あり....
「味覚の美と芸術の美」より 著者:北大路魯山人
、私から見て、中国人に学ぶべきなにものもなしと言ってよい。 絵でもそうである。
印刻においてもそうである。だが、これはひとり中国に対して言えるばかりでなく、広く....