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「印画〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

印画の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
た。 昂奮していたのだ。なぜだろう……。 レンズが肉体に化した木崎の写真は、印画紙からニヒリズムの体臭が漂うくらい、個性が強く、彼のねらう構図にはつねに夜が....
職工と微笑」より 著者:松永延造
大哲カントのように独語した。おお何と云う好い器量の卵達であろう。ラフなブロマイト印画紙のような肌は、もう近在から出る地卵とそっくりであった。 軈て私は若い農夫....
新生」より 著者:島崎藤村
を冠《かぶ》ったのが牧野で、その側に立つが彼だ。まぶしかった日光の反射は彼自身の印画を若過ぎるほど若く見せて、それが自分の旅人姿とも一寸《ちょっと》受取れなかっ....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
ねた。 「うまく出たようだ。ここにある」湯河原中佐が、クルクルと捲いてある細長い印画紙を机の上に、展げて見せた。 「ははァ、よく判りますね」と、帆村探偵はお茶の....
銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
、現像に夢中になっていると、不意に、直ぐ自分の横へ確かに置いた筈の赤い紙に包んだ印画紙が、どこかへ消えてしまって、すっかり面喰ってしまうことがよくありますね。び....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
立てて、盛に燃え出すと、樺の立木の葉が、鮮やかに、油紙の屋根に印して、劃然とした印画が炙り出される。晃平が、先刻、未だ日の暮れないうち、朝飯の菜にとて、山款冬数....
カメラをさげて」より 著者:寺田寅彦
に昔のままの日本を代表する塩煎餅屋や袋物屋や芸者屋の立派に生存しているのもやはり印画記録の価値が充分にある。 六国史などを読んで、奈良朝の昔にシナ文化の洪水が....
銀座アルプス」より 著者:寺田寅彦
して焼き付けるだけの「光線」があったであろう、その光線はとうの昔に消えて、一枚の印画だけが永久に残っているのである。人殺しをした瞬間に偶然机の上におかれてあった....
映画の語る現実」より 著者:宮本百合子
性から生み出されるかという印象を与える雰囲気、画面の所謂《いわゆる》芸術写真風な印画美であるが、私たち数人の観衆はこの文化映画として紹介されているもののつめたさ....
ヴォルフの世界」より 著者:宮本百合子
活きた性格の姿でとらえてゆく主観の謙抑とでもいう美しさである。頁から頁へと一つの印画から一つの印画へとそこに描こうとされた生活の各断面が十分の量感をもって展開さ....
昨今の話題を」より 著者:宮本百合子
面に向けられたカメラだけを意識してしずしず草履を運んでやって来る。そこがカチリと印画になって納められているのである。女史はそのまま諷刺画ともなるこの自身の写真を....
什器破壊業事件」より 著者:海野十三
ごとんと奥へ開いた。そして一人の長身の紳士が、ぬっと立ち現れた。その手には写真の印画紙らしいものを二三枚もっているが、いま水から上げたばかりと見えて水滴がぽたぽ....
○○獣」より 著者:海野十三
にはよく見えなかった。そこで三ちゃんは、水洗をいい加減にして急に乾かすと、それを印画紙にやきつけた。すると肉眼で見ていると同じ光景が、写真の面にあらわれた。 「....
比較科学論」より 著者:中谷宇吉郎
たのである。その一つの方法として、この波形の高低をトーキーのフィルム上に、濃淡で印画することを考えておられた。それを音として再生すると、波形によって、それぞれち....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
るね。だが、写真といえば写真器械によって撮影され現像されたもの、ハイカラにいえば印画のことだろう。写実といえばまたゾラ以降の観法だろう。応挙あたりの精緻な写実も....