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「印籠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

印籠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
坂野は見せ、土色の顔を一層土色にして、ふぬけていたが、やがてエヘッと笑うと、 「印籠みたいなもンでさあ」 と、ポケットからヒロポンの箱を出して来た。 「――こ....
幻談」より 著者:幸田露伴
》いていたのが目に浸《し》みて見えた。様子を見ると、例えば木刀にせよ一本差して、印籠《いんろう》の一つも腰にしている人の様子でした。 「どうしような」と思わず....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
のかも知れない」そう忌々《いまいま》しそうにいい切ると、金目のありそうな衣類や、印籠を、手早く風呂敷包にした。 こうして、この姦夫姦婦《かんぷかんぷ》が、浅草....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
、病苦に悩み苦しんでいるのであった。弥次右衛門は近所から清水を汲んで来て飲ませ、印籠にたくわえの薬を取出してふくませ、いろいろに介抱してやったが、男はますます苦....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
ばしこい者が急に駛《はし》って馬柄杓《ばびしゃく》に水を汲んで来る。其間に氏郷は印籠《いんろう》から「西大寺」(宝心丹をいう)を取出して、其水で服用し、彼に計謀....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
いささかたりとも軽佻、諷刺の意を寓したりとせらるる読者は、あの、紫の顱巻で、一つ印籠何とかの助六の気障さ加減は論外として、芝居の入山形|段々のお揃をも批判すべき....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
持ち運ばれた無数の音物が並べられてあった。屏風類、書画類、器類、織物類、太刀類、印籠類、等々の音物であった。そういう音物類を照らしているのは、二人の先に立って歩....
三甚内」より 著者:国枝史郎
底へ沈むらしい水の音。……その間に男は起き上がると二間余りも飛び退ったが、手には印籠を握っている。倒れながら拾った印籠である。 その時であったが水の上から欠伸....
二人町奴」より 著者:国枝史郎
がある。 三十がらみで撥髪頭、桜花を散らせた寛活衣裳、鮫鞘の一腰落し差し、一つ印籠、駒下駄穿き、眉迫って鼻高く、デップリと肥えた人物である。 丁寧ではあるが....
剣侠」より 著者:国枝史郎
であろうと討つは卑怯、まず蘇生させてその上で)と。 (そうだ)と主水は草に坐り、印籠から薬を取り出した。 恩讐同居 1 木曽福島の納めの馬市。―― これは勿論....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
て二足三足歩き出した。 と、どうしたのか立ち止まったが、「しまった、すられた、印籠をすられた」 腰のあたりへ片手をあてている。で、クルリと振り返ったが、女煙....
蜘蛛の夢」より 著者:岡本綺堂
と見えまして、検視に来た役人たちはそこらの草の中に小さい蝋燭の燃えさしと、ほかに印籠のようなものが落ちているのを見つけ出しました。それが手がかりになって四、五日....
怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
調べるのじゃ」 「それは又何故に」 「ええ、未だ空惚けおるか。おぬしは拙者の腰の印籠を盗みおった。勿論油断して岩を枕に午睡したのがこちらの不覚。併し懐中無一文の....
隠亡堀」より 著者:国枝史郎
つにしたんだからなあ。だって小平が宜くねえからよ。主人の病気を癒すは可いが、俺の印籠を盗むは悪い」 ダラダラと水藻を払い落とした。 果たして小平の死骸があっ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
くは銀だが、青銅も、朧銀も、烏金も……真黒な瓜も面白い。皆、甜瓜を二つに割って、印籠づくりの立上り霊妙に、その実と、蓋とが、すっと風を吸って、ぴたりと合って、む....