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「印鑑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

印鑑の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
花火」より 著者:太宰治
着物がなくなったと見るや、こんどは母のこまごました装身具を片端から売払った。父の印鑑を持ち出して、いつの間にやら家の電話を抵当《ていとう》にして金を借りていた。....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ん堅固な封印いたしておいたのに、さきほどお箱を開いて見改め申したところ、てまえの印鑑をもって封じておいた封印はいささかも異状がないのに、中身のお能面だけがいつ抜....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
、大旦那の長造が帰って来た。 「おかえりなさいまし」お内儀のお妻は、夫の手から、印鑑や書付の入った小さい折鞄をうけとると、仏壇の前へ載せ、それから着換えの羽織を....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
各助郷に証人を兼ねるものを出勤させ、また、人馬の公用を保証するためには権威のある印鑑を造って、それを道中宿々にも助郷加宿にも送り、紛らわしいものもあらば押え置い....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
施はすでに開始されて、馬籠の駅長としての半蔵あてに各地から送ってよこした駅路用の印鑑はすべて栄吉の手に預かってくれてあった。栄吉は彼の前にいろいろな改正の印鑑を....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
のであった。 青山氏系図、木曾谷中御免荷物材木通用帳、御年貢皆済目録、馬籠宿駅印鑑、田畑家屋敷|反別帳、その他、青山の家に伝わる古い書類から、遠い先祖の記念と....
縮図」より 著者:徳田秋声
感情がにわかに冷たくなり、自分の気持に僻みというものを初めて経験したこと、郁子の印鑑はもちろん、名義になっている公債や、身につけていた金目の装身具など、誰かいつ....
傾城買虎之巻」より 著者:直木三十五
事で御座いますから、飛脚の参りました節に何か証拠が御座いませんと」 「そやそや、印鑑で割符をしとこか」 「ではこの紙へ」 と、亭主の懐中している紙入から抜出す....
原爆回想」より 著者:原民喜
筆、手帳、夏シャツ、手拭、縫糸、針、ちり紙、煙草、マッチ、郵便貯金通帳、ハガキ、印鑑 これだけが、うまく詰めこんであった。かねて私は水の中に飛込んだりすること....
獄中消息」より 著者:大杉栄
たい。 来月の僕の手紙は足下から何とか報知のあるまで延して置く。きのうようやく印鑑が来たという話があった。今、印鑑届および委任状を書くことのお願いをする筈だ。....
幾度目かの最期」より 著者:久坂葉子
、身分証明書と云われたのです。私の定期入れには、名刺は、久坂のが一枚あったきり。印鑑ももってませんし、小為替は、本名宛なのです。私はすごすご(いえ大分ねばったの....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
して土曜の午後こゝへ来るように言うがよい。土曜の午後早いうちに来るのだよ」 と印鑑を渡した。 ミネは大そう喜んで幸平に知らせたから、生活の破局に瀕していた幸....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
ぐ、東京の腹心の者に云いつけたのだよ。そりゃ、私のこったもの、似た換玉くらいや、印鑑なんぞに事欠いてたまるもんかね。ホホホホ、私の運の尽きが、お前さんの自滅とい....
濹東綺譚」より 著者:永井荷風
は入れ忘れたまま折目の破れた火災保険の仮証書と、何かの時に入用であった戸籍抄本に印鑑証明書と実印とが這入っていたのを、巡査は一枚々々静にのべひろげ、それから実印....