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危うく
「危うく〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
危うくの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
侍は、四方から彼をとり囲んだ。いや、すでに後ろから、忍びよった男の鉾《ほこ》は、
危うく鋒《きっさき》を、彼の背に擬している。が、その男は、不意に前へよろめくと、....
「或る女」より 著者:有島武郎
子段《はしごだん》をのぼりかけると、上から小間使いがまっしぐらに駆けおりて来て、
危うく親佐にぶっ突かろうとしてそのそばをすりぬけながら、何か意味のわからない事を....
「或る女」より 著者:有島武郎
「どうせ二人一緒に汽車に乗るわけにも行くまい」
倉地がこういい足した時葉子は
危うく、ではきょうの「報正新報」を見たかといおうとするところだったが、はっと思い....
「富士」より 著者:岡本かの子
娘と知るや無我夢中になってしまって、矢庭《やにわ》に掻き抱こうとした旅塵の掌で、
危うく白妙《しろたえ》の斎《いつき》の衣を穢《けが》そうとして、娘に止められて気....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
昨日の稲刈りなどは随分みじめなものであった。だれにもかなわない。十四のおはまにも
危うく負けるところであった。実は負けたのだ。 「省さん、刈りくらだよ」 という....
「兜」より 著者:岡本綺堂
郎はともかくも箕輪の方角へ落ちて行こうとすると、急ぐがままに何物にかつまずいて、
危うく倒れかかった。踏みとまって見ると、それは一つの兜であった。しかも見おぼえの....
「有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
しましたか。」と、お銀は顔をしかめながらまた訊いた。 「なに、半分|轢きかかって
危うく踏みとまったので、たいした怪我はないようです。それでも転んだはずみに手や足....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
。陀堀多はその柄を取上げた。あたり四方へ力一ぱい撒いた。 風がその匂いを送って
危うく榕樹の林へ入りかけようとする姫の嗅覚に届いた、姫は袖で顔を覆った。 姫に....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
采女は、まず片足を働かせて一方の弥兵衛を蹴倒そうとした。蹴られて倒れかかったが、
危うくも踏みこたえた彼は、相手の右の腕をしっかりと抱え込んで横さまに投げ出そうと....
「誓之巻」より 著者:泉鏡花
、空|蒼く晴れたればこそかくてあれ、暗くならば影となりて消えや失せむと、見る目も
危うく窶れしかな。 「切のうござんすか。」 ミリヤアドは夢見る顔なり。 「耳が....
「茶の本」より 著者:岡倉由三郎
いては、意外の連想から、本書の姿を見ひがめ、『茶経』そのものとの不即不離の関係を
危うくする恐れがあることを村岡氏は懸念されたためである。 昭和四年一月三日 洋々塾にて 岡倉由三郎....
「御堀端三題」より 著者:岡本綺堂
と、その中の一人がひどく顔の色を変えた。聞いてみると、その人はかつて虎に出逢って
危うくも逃れた経験を有していたのである。私も馬車に轢かれそうになった経験があるの....
「活人形」より 著者:泉鏡花
ものありけり。 泰助蒼くなりて一足|退れば、轟然たり、短銃の第二発。 いとも
危うく身を遁れて、泰助は振返り、屹と高楼を見上ぐれば、得三、高田相並んで、窓より....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
の修業も並大抵のものではなかったらしい証拠は、ひどい肺病と神経衰弱にかかって命も
危うくなり、山城の白河の白幽道人というのから内観の秘法を授かってやっと助かったり....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
央突破を敢行せしめた。普軍は戦力全く消耗して対応の策なく遂に敗退しブリュッヘルは
危うく捕虜とならんとして僅かに逃るる事が出来た。 本会戦はナポレオン得意の中央突....