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「危ぶむ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

危ぶむの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
此は子細らしく訊いた。 隠すこともできないので、林之助も正直に答えると、お此は危ぶむようにささやいた。 「あなた、お里さんのところへ行くのはお止しなさいましよ....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
せぬ」と、千枝太郎は尊い師匠の前で立派に誓った。 「わかったかな」と、泰親はまだ危ぶむような眼をしていた。 「判りました」 半分は夢のような心持で、千枝太郎は....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
ぞれに活動して、二たたび列車のなかに擦《す》れ違ったまま、互の運命を自家の未来に危ぶむがごとく、また怪しまざるがごとく、測るべからざる明日《あす》の世界を擁して....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
しい、其の様な人が、どうして遠く英国に居る秀子を助ける事が出来ようと、余は初めて危ぶむ念を起したけれど、今は当って見る一方だ、余は唯「先生は御在宅ですか」と問う....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
知れないと、彼女はひたすら恐れていた。 こんなわけで、文字春は津の国屋の運命を危ぶむばかりでなく、自分の身の上までが不安でならなかった。彼女は毎日稽古に通って....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
の突撃に移った。あたりはもう暗い。諏訪方ではすでに浮き腰になるもの、後方の退路を危ぶむものが続出した。その時はまだまだ諏訪勢の陣は堅く、樋橋に踏みとどまって頑強....
足迹」より 著者:徳田秋声
もりだで――。」と、叔父は立つ前にもそう言って、一人では道中が気遣われると言って危ぶむ母親や伯母に笑って言った。 「そんなこといって、汽車のなかで血でも吐いたら....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
、余瀝《よれき》も余さず飲んだわやい、と答える。家来達はギェーッと今更ながら驚き危ぶむ。誰《た》そあれ、水を持て、と氏郷が命ずる。小ばしこい者が急に駛《はし》っ....
別れの辞」より 著者:豊島与志雄
きれないのであろう。私はこの点を彼等に許してやりたい。それで、彼等が島村のことを危ぶむのも、尤もだと思うのだった。島村の経済上の破綻は、やがてその精神上の破綻と....
アーニイ・パイルの前に立ちて」より 著者:小林一三
かという疑問を抱くことになる。米人の偉大なる体格美を仰ぎ見て、我々の繊弱な素質を危ぶむごとくに、精神的低迷の瀬戸際に立たざるをえないのである。 洋楽の優秀なる....
小知恵にとらわれた現代の法律学」より 著者:末弘厳太郎
をまわった上議会を通過する、これではたしていい法律ができるでしょうか。私は大いに危ぶむのです。それでは真に社会の実情に適合した法律のできるわけがないのです。それ....
丸の内」より 著者:高浜虚子
言動が淋しかった。 「君、百姓が出来るのですか。」と俳人はこの男の容子を見ながら危ぶむようにいった。 「出来るだろうと思います。」とその男は空しく口を開いて笑っ....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
れませぬ。あやつの眼の色、何やら妬ましげに見えましたれば……。」と、采女は少しく危ぶむように言った。 「何を妬む。権右衛門が何を妬み、誰を妬むのじゃ。」と、小坂....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
道には真紅の罌粟の花が、長い茎の項に咲き、その花がゆらゆらと揺れて、母の行くのを危ぶむように見えました。(間)母が両手を前へ差し出した様子が何者かを捉えようとあ....
西航日録」より 著者:井上円了
べからず。しかるに今日の学生をみるに、果たしてよくこの任に堪うるやいなやは、余が危ぶむところなり。 ああ、日本にしてもしその望みなしとすれば、東洋はついに碧眼....