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危懼
「危懼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
危懼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人間失格」より 著者:太宰治
時中、くだらないおしゃべりを続け、あの、二人で歩いて疲れ、気まずい沈黙におちいる
危懼《きく》が、全く無いという事でした。人に接し、あのおそろしい沈黙がその場にあ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
と、その茫漠とした意識の中から、なんとなく氷でも踏んでいるかのような、鬱然とした
危懼《きぐ》が現われてきた。と云うのは、最初に高代という言葉を聴いたのは、まだ十....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
周囲にある。然し私の怯えた心はその何れにも無条件的な信頼を持つことが出来ないで、
危懼と躊躇とに満ちた彷徨の果てには、我ながら憐れと思う自分自身に帰って行くのだ。....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
あながち、津多子を除外した法水の真意が、奈辺にあるや疑うばかりでなく、それぞれに
危懼と劃策を胸に包んでいると見えて、ちょっとの間だったけれども、妙に腹の探り合い....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
いなきにあらざれども、その気質は※儻正大を旨とし、学者の講談、志士の横議には毫も
危懼を抱かず、むしろ喜んで聴くの風ありき。とくに旧幕吏の圧制に懲りまた欧米各国が....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
せざるを得なかった。 何故なら、野村も実は二川が発狂したのではないかと、私かに
危懼の念を抱いていたからだった。 二川は以前から痩せた方で、変に懐疑的なオド/....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
まうかも知れないからである。しかし、そのように深遠で非凡な発見の誘惑は、ついに、
危懼の念に打ち勝ってしまった。私はずっと前からチンキの方は調剤してあったので、す....
「死ね!」より 著者:豊島与志雄
た。これはめちゃだと私は思うのだった。そんな場合じゃあるまい。然し……漠然とした
危懼が私を囚えていった。その
危懼を打消すことで私は憂欝になった。 そこを出て、....
「別れの辞」より 著者:豊島与志雄
は、いろいろ芳しからぬ噂が私達の間に伝わっていた。私自身も、彼について漠然とした
危懼を感じていた。当時私はいろんな用件で――それも彼のための用件で――急に彼に逢....
「ヒロシマの声」より 著者:豊島与志雄
とたび戦争が起れば、否応なく第三次世界大戦に突入する可能性が多く、原子力戦になる
危懼が大きい。原子爆弾以外にも如何なる武器が製作されるか、予測を許さない。そして....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
のまんなかに穴から投げ込んだ。
ちょうど危うい時であった。テナルディエは最後の
危懼《きぐ》もしくは最後の用心をおさえつけて、捕虜の方へ歩を進めていた。
「何か....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
身にうけているような気がした。しかしそれには、氷でも踏んでいるような、鬱然とした
危懼さがまたあって、まだ何かありはしないか、ありはしないかと、全身の毛が一本一本....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
けなくなった。彼女は昏倒した。 奇々怪々のケートの物語はおわった。一同は驚愕と
危懼の念にあおくなった。七人の凶暴無慚の悪漢が、いまこの島を徘徊している。かれら....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
旅行は、どうして、楽なものではなかったのです。可心にとって、能登路のこの第一歩の
危懼さが、……――実は讖をなす事になるんです。」 と言って、小山夏吉は一息した....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
に玉網の柄を執りて、介錯の用意全く成れり。 漁史は、手応の案外強きに呆れ、多少
危懼せざるに非ざれども、手繰るに従いて、徐々相近づくにぞ、手を濡らしつつ、風強き....