卵黄[語句情報] » 卵黄

「卵黄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

卵黄の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雛妓」より 著者:岡本かの子
「今晩は」 襖が開いて閉って、そこに絢爛な一つくねの絹布れがひれ伏した。紅紫と卵黄の色彩の喰み合いはまだ何の模様とも判らない。大きく結んだ背中の帯と、両方へ捌....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
透明になり、やがて薄い樺色となった。そうして徐々に孛藍色となり、おもむろに変って卵黄色となった。そこへ紅が点じられた。ちょうど花弁でも開くように、その紅色は拡が....
十二支考」より 著者:南方熊楠
《つつ》めり、その銀数片を夢判じにやると、銀より金が欲しい思《おぼ》し召しから、卵黄《きみ》の方も少々戴きたいものだと言うたそうな。一五二五年頃出た『百笑談』て....
C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
獣のように物凄い黒色が仄明るい空を画ると、漸々その極度の暗黒を破って、生みたての卵黄のように、円らかにも美くしい月が現われるのでございます。真個に、つるりと一嚥....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
てしまったような気がした。丁度遠く河上の方から展けて来た青空が街の屋根に近づいて卵黄色に濁りかけている境に小形の旅客飛行機がゆったり小さな姿を現わした。 ――と....
蘇生」より 著者:豊島与志雄
た空気が澱んでいた。もう中西とも何もいうことはなかった。 葡萄酒を一杯、鶏卵の卵黄《きみ》を二つ、鶏肉の汁を一椀、粥を少量、それだけ敬助は食べた。出来るだけ多....
地上」より 著者:島田清次郎
平坦な大路に早春の微風が暖かく吹いていた。平一郎は黙って冬子の後について歩いた。卵黄色の陶煉瓦の四層の貴金属商の建物が赤い煉瓦の貿易商会と対い合っている横路、そ....
日記」より 著者:宮本百合子
。十六日に帰ったら早速スタンドを持って来よう。緑のかさはいやになった。私のすきな卵黄色の耀いたのにしよう。 チャイコフスキーの Theme の Variati....
食道楽」より 著者:村井弦斎
。それも上海玉《しゃんはいだま》の下等物《かとうもの》で、割《わっ》た時は大概|卵黄《きみ》が壊れていた。腐ったものは堅いものよりなお悪い。きっと例の虫がいるよ....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
であった。昼でも濛々として宵闇の膜の中に在るようだった。灰が薄れると太陽が銅色や卵黄色に見えた。その次に石が降って来た。白くて塩の塊のような石だ。そこらじゅうの....
性に眼覚める頃」より 著者:室生犀星
ぬままに陶器を好くようにさせていたことは実際であった。 父は、そのなかから薄い卵黄色の女もちにふさわしい一つの古い茶碗をとり出して、 「これはお前ののにすると....
後の日の童子」より 著者:室生犀星
柱の下に立った。そうして刻限をきざむ音にちいさい耳を欹てた。白い肌をもつ時計には卵黄色に曇った電燈のあかりが、光をやや弱めながら近づいていた。 「そうさ、あのこ....
みずうみ」より 著者:室生犀星
。 小さい見すぼらしい灰褐色のみで造られたような家――に、なお灰色の釣らんぷが卵黄のようにぼやけて灯れ、その影が歪んだ窓さきから白い砂の上に落ちていた。母親と....