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厄難
「厄難〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
厄難の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
其の証拠を示し秀子が少しも罪など犯す汚れた履歴でない事を知らせ、此の差し掛かった
厄難を払って爾して取り敢えず秀子の身を安泰にして遣りましょう、サア其の証拠は何所....
「黴」より 著者:徳田秋声
ていられなかった。足や腰に少し力がつくと、起き出して何かして見たくなった。大きな
厄難から首尾よく脱れた喜悦もあったり、産れた男の子が、人並みすぐれて醜いというほ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
敗り身を※辱《おじょく》せりと。すなわち自ら誓いて曰く、我もし脱るるを得て、この
厄難を免るれば、まさに沙門に詣《いた》って出家の法を受くべしと。既に出て山に入り....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
を哀しみ、厨人よりこれを償い放ち、この王の悪業願わくは報いを受くるなかれ、我来世
厄難に遭《あ》う時、えらい大師が来って救いたまえと念じた。その鶏を献じた者が今の....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
採るに忙く、日々干し面白く、働くには頗る困難なるも、創世記を読みて古今同く労苦と
厄難と人害とは此れ創業の取るべきを感悟して最も満足せり。 此際には豆類|甘藍等に....
「源氏物語」より 著者:紫式部
させたらとお考えになって、二条の院へ病女王をお移しになった。六条院の人々は皆大|
厄難が来たように、悲しんでいる。冷泉院も御心痛あそばされた。この夫人にもしものこ....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
活ける民族的、運命的共同体くにへの愛護の本能によって、大蒙古の侵逼を直覚し、この
厄難から、祖国を守らんがために、身の危険を忘れて、時の政権の把持者を警諫した。彼....
「最後の一句」より 著者:森鴎外
い聞かされた父の代わりに、このおばあ様の来るのを歓迎している。 これに反して、
厄難に会ってからこのかた、いつも同じような悔恨と悲痛とのほかに、何物をも心に受け....
「妖怪学」より 著者:井上円了
べし。その他、さきに示したる立春大吉を四方の柱にはれば、火難、盗難、その他一切の
厄難を免るべしといえるは、これけだし、四方より入りくる悪魔を防ぐの意なり。 古....
「十五年」より 著者:山本実彦
が歓迎される。森戸君が大正八年クロポトキン事件に坐して大学を逐われてから、思想的
厄難がつぎつぎに起こって来た。 越えて大正十年一月から思想界の第一人者バートラ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
ばかりの舞台となりぬ。磨ぎ清したる三日月は、惜しや雲間に隠れ行き、縁の藤の紫は、
厄難いまだ解けずして再び奈落に陥りつ、外より来れる得右衛門も鬼の手に捕られたり。....
「深川の唄」より 著者:永井荷風
まった。無論大した怪我《けが》ではないと合点して、車掌は見向きもせず、曲り角の大
厄難、後《うしろ》の綱のはずれかかるのを一生懸命に引直《ひきなお》す。車は八重《....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
は医王山の幽翠を背負って、閑古鳥でも啼きそうにさびていた。 厄年の男女がふめば
厄難をはらうという、四十二段、三十三段の石段を上ると、日和佐川のはけ口から、弧を....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
こんどの警衛の途中で、討死の厄にあうかもしれぬ。よし万死に一生をえても、彼の一大
厄難はまぬがれ得まい。 「惜しい! あれ程な男を、むざと見殺しにするのは」 と....