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厚ぼったい
「厚ぼったい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
厚ぼったいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
らえていた感情がさらに嵩《こう》じたものか、涙をあふれんばかり目がしらにためて、
厚ぼったい口びるを震わせながら、痛々しげに葉子の顔つきを見入って突っ立った。
....
「或る女」より 著者:有島武郎
そして倉地の寝顔を見守った。
葉子の目にはひとりでに涙がわくようにあふれ出て、
厚ぼったいような感じになった口びるはわれにもなくわなわなと震えて来た。葉子はそう....
「星座」より 著者:有島武郎
うだ、君にだ」
そう園のいうのを聞くと、ガンベは指の短かい、そして恐ろしく掌の
厚ぼったい両手を発矢《はっし》と打ち合せて、胡坐《あぐら》のまま躍り上がりながら....
「ゆず湯」より 著者:岡本綺堂
鼻立ちこそ兄さんに肖《に》ているが、むしろ兄さんよりも大柄の女で、平べったい顔と
厚ぼったい肉とをもっていた。年は二十歳《はたち》ぐらいで、いつも銀杏がえしに髪を....
「人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
は、豆スープのように黄色く濁った濃霧の中に沈澱《ちんでん》していた。窓という窓の
厚ぼったい板戸をしっかり下《おろ》した上に、隙間《すきま》隙間にはガーゼを詰めて....
「振動魔」より 著者:海野十三
子を※じこんだりしたすえに、真黒で四角の変圧器まで取付けていった。それがすむと、
厚ぼったいフェルトや石綿や、コルクの板が搬び入れられ、それはこの小屋の内部の壁と....
「河明り」より 著者:岡本かの子
枝葉を空に振り乱して荒れ狂っている原始林の中を整頓して、護謨の植林がある。青臭い
厚ぼったいゴムの匂いがする。白紫色に華やぎ始めた朝の光線が当って、閃く樹皮は螺線....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
は、眼鼻立ちこそ兄さんに肖ているが、むしろ兄さんよりも大柄の女で、平べったい顔と
厚ぼったい肉とをもっていた。年は二十歳ぐらいで、いつも銀杏がえしに髪を結って、う....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
鼻はひくくて長かった。 口はたいへん大きく、耳の下までさけているように見え、
厚ぼったい唇があった。その唇へ、一人の男が棒をさしこんであけてみたところ、たしか....
「怪塔王」より 著者:海野十三
は、なかなか切れません。 三千メートル、二千八百―― 「これは変だなあ。そんな
厚ぼったい雲があるだろうか」 兵曹長は、あまりに厚い雲に対して不平をいいながら....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
て引上げたものらしい。素足に染まって、その紅いのが映りそうなのに、藤色の緒の重い
厚ぼったい駒下駄、泥まみれなのを、弱々と内輪に揃えて、股を一つ捩った姿で、降しき....
「アッタレーア・プリンケプス」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
だれにも相手にされないような小さな草でありました。ひ弱な、色つやのないはい草で、
厚ぼったいしなびた葉をつけていました。この草には別にこれといって目だった特徴もな....
「城」より 著者:カフカフランツ
れたように見えたし、顔の表情がたたかれる苦痛のうちにできあがったようであった――
厚ぼったい唇とぽかんと開けた口とを見せながら、Kのほうを見ていた。しかしまた、彼....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
返って見ると、見知らない一人の青年が笑いながら立っていた。背の高い、細長い体に、
厚ぼったい霜降りの外套を着て、後襟だけをツンと立てているが、うす紅色の球の大きな....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
び移りますから――」 群集の中からモジリ外套の男が飛び出した。鷹は忽ちばさりと
厚ぼったい羽音をさせながら、その男の肩へ飛び移った。見物は喜んだ。 訓練法がす....