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「厚着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

厚着の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
芽生」より 著者:島崎藤村
」 と山浦というところから奉公に来ている下女も、そこへお繁を抱いて来て見せた。厚着をさせてある頃で、この末の児はまだ匍《は》いもしなかったが、チョチチョチ位は....
」より 著者:島崎藤村
見て下さい」 と在から奉公に来ていた下女も、そこへ末の子供を抱いて来て見せた。厚着をさせてある頃で、お繁は未だ匍いもしなかったが、チョチチョチ位は出来た。漸く....
狂乱」より 著者:近松秋江
けに心に少し勢いがついて、宿にとって返し、夜の寒さに風邪を恐れながら、思いきって厚着になり、また祇園町へと出かけていった。今から二た月前の九月の末、紀州の旅から....
寛永武道鑑」より 著者:直木三十五
ず》いたが (油断をしてはいけないのに) と、思った。寒い朝であったから、誰も厚着をしていた。その上へ又重ねては、いざという時に働けまい、と思ったが、然し、荒....
四次元漂流」より 著者:海野十三
ことに気がついた。さてはと道夫の胸はおどった。 老人はつと立って、例の不恰好な厚着をした身体をぶるんとふるわせると、物もいわずに逃げだした。 「話があるんだ。....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
まりに残酷なのだからやむをえない、私は洋服を主として用いる、その洋服でもあまりの厚着はいけないそうだが、日本服の不体裁に比して遥かにましだと思う。 なお和服を....
関牧塲創業記事」より 著者:関寛
もかくあらんかと思われたり。 かかる着用にて、炎熱の日に畑に出でたるには、炎熱と厚着の為めに全身は暑さを増すのみならず、汗出でて厚く着重ねたる木綿|衣は汗にて流....
秋風」より 著者:宮本百合子
うした人達が羨《うらや》ましい様な、ねたましい様な気がする。 それかと云って、厚着《あつぎ》をして不形恰《ぶかっこう》に着ぶくれた胴《どう》の上に青い小さな顔....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
なって、一そ切って置こうと思ったのでしたが。 そういえば、お目にかかったとき、厚着していらっしゃるように見えたのですが、ちがうかしら。今年、もしお体の事情がす....
寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
。彼はその当時の寄席芸人に似合わず、文学絵画の素養あり、風采もよろしく、人物も温厚着実であるので、同業者間にも大師匠として尊敬されていた。 明治十七、八年の頃....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
のに一晩の不寝番は利口なことじゃないが仕方がない。カゼをひかないように、せいぜい厚着して行こうと仰有ったのを覚えてます」 ということであった。彼女はお給仕した....
南国太平記」より 著者:直木三十五
笑って、おどけた手付《てつき》をすると同時に、深雪も、笑った。自分で、突いたが、厚着のため、一寸、肌へ傷ついただけの疵が、それでも、安心すると痛んでいるのが、感....
濞かみ浪人」より 著者:吉川英治
た。 数右衛門は、徳利を持った儘、川の中へ、もんどり打って飛び込んでしまった。厚着をしていたのと、酔っていた所なので、彼は少からず面喰らった。然し、水には達者....