原籍[語句情報] »
原籍
「原籍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
原籍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「窮死」より 著者:国木田独歩
身を乗り出して薦《こも》のかけてある一物《いちもつ》を見た。 この一物は姓名も
原籍も不明というので、例のとおり仮埋葬の処置を受けた。これが文公の最後であった。....
「党生活者」より 著者:小林多喜二
た。戸籍しらべに来ている。私はこういう時に自分が引張り出されないようにと、前から
原籍や氏名などを書いて、おばさんに渡してあった。巡査は細々と、しつこく訊《き》い....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
が本年二十三歳なのを考えれば、もっと早く気がつく筈だと思うが、妾の前で滔々として
原籍や姉妹のことを喋ってしまって、大分経ってから気がついて急に逃げだすというのが....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
を誹謗し、目下狂否の論争中なる、法術士ロナルド・クインシイと懇ろにせしため、本日
原籍校に差し戻されたり。然るに、クインシイは不審にも巨額の金貨を所持し、それを追....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
達に遠ながら目礼して引揚げた。
*
日ならずして彼は
原籍地肥後国葦北郡水俣から戸籍を東京府北多摩郡千歳村字粕谷に移した。子供の頃、自....
「獄中記」より 著者:大杉栄
「索引」をかりて、それとみんなの顔とを見くらべて歩く。「索引」というのは被告人の
原籍、身分、罪名、人相などを書きつけたいわばまあカードだ。 「お前はどこかで見た....
「放浪の宿」より 著者:里村欣三
た。 「は、奉天から」 「歩いてか?」 「え……」 「そこに帳面と硯があるので、
原籍と姓名を書きとめておいて、向うの長屋で休むといい」 坊主は面倒臭く言葉半分....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
。堺利彦はこれより千九百九十号というものになり了った。 この前後に姓名、年齢、
原籍、罪名等について、それはそれは繁雑きわまる取調べがあった。薩摩なまり、東北な....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
きとめるためにも、生き残った人たちをよく調べる必要があったのである。 「あなたの
原籍は?」 係官は、用紙をのべて、取調をすすめる。 「さあ」 房枝は、困って....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
の以前に、私に、自分が姓名もろくに書けないので馬鹿にされる、ということを話して、
原籍と姓名だけを書けるようになりたいから、チャンとそのお手本を書いてくれ、と頼ん....
「六月」より 著者:相馬泰三
曽根四郎と申します」と彼はおかしいほど丁寧に答えた。 警官は、それから現住所、
原籍、族籍、父の名、その者の第何男であるかまで詳しく聞いて一々それを手帳に控えた....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
茂才先生でさえ知らないものを、わたしどもに何のいい智慧が出よう? 第四は阿Qの
原籍だ。もし彼が趙姓であったなら、現在よく用いらるる郡望の旧例に拠り、郡名百家姓....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
らせて、区役所へと向う。彼がそこで調べたのは、五年前まで浅虫家にいた使用人たちの
原籍であった。 「私はこれから五年前の召使いを一々訪ねて廻らなければなりませんが....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
いると言うて、再度の訂正を命じ、三度目に出すと、父の名が違っている「為吉」の吉は
原籍に「吉」となっていると言うて訂正を命じ、四度出すと母の名が仮名になっているが....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
数で、少くも中世以後には、一旦公民権を得て戸籍に編入されていたものが、事情あって
原籍地から逃亡し、浮浪民となったものが甚だ多かった。その中には、地方官の悪政の結....