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厨房
「厨房〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
厨房の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
蔬菜《そさい》のたぐいを順次に生に忠実な虫に供養するまでである。勿論《もちろん》
厨房《ちゅうぼう》の助に成ろう筈《はず》はない。こんな有様であるから田園生活なん....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
と明るく電灯がついた。僕は彼の大胆なのに呆れかえった。攀じのぼってみると、それは
厨房であった。板の間の揚げ蓋が二枚だけ、横に外されていた。 速水は靴のままで、....
「忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
。それぎりで客へは何の挨拶もしない、その後ろ姿を見送りもしなかった。真っ黒な猫が
厨房の方から来て、そッと主人の高い膝の上にはい上がって丸くなった。主人はこれを知....
「読書法」より 著者:戸坂潤
てある処は威力がある。「『大人の文学』論の現実性」と「『迷いの末』――横光氏の『
厨房日記』について」とは、日本的なものをかつぎ回る数名の文士の心情を、辛辣に且つ....
「火星探険」より 著者:海野十三
ないじゃないか」 と、ネッドが目を丸くした。 張の方は「よろしい」と答えて、
厨房《ちゅうぼう》へ駆けこんだ。 「いや、腹がへっては駄目だ。今のうち食べられる....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
働き、役にたつ時は羅針盤同様の必要な役目をさえ成し遂げて、ともかく無事――金椎の
厨房《ちゅうぼう》から饅頭《まんじゅう》を取って来て、ひそかに兵部の娘に食わせた....
「月夜のあとさき」より 著者:津村信夫
番をしながら、暇をみて蕈を採る、採った蕈は中社まで持って帰り、あちらこちらの坊の
厨房にわけてやるのだと云った。 越後の海も一度見たいね、だがそれよりも孫が長野....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ず、自分があの小宮廷と仲|違《たが》いをしたこと、昔は官邸の大膳《だいぜん》局や
厨房《ちゅうぼう》に信用を得ているとの自惚《うぬぼ》れがあったにしろ――(それを....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
ませて、息を吹き返させました。まだ生きているしるしが見えるとすぐ、毛布にくるんで
厨房ストーブの煙突のそばに寝かせました。そのうちだんだんとその人は正気づき、スー....
「四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
地も清らかである、山の景観も市街や山野の遠望も佳い。 京間の六畳一室四畳半一室、
厨房も便所もほどよくしてある、水は前の方十間ばかりのところに汲揚ポンプがある、水....
「増上寺物語」より 著者:佐藤垢石
と万理小路の脚下へ、都合五千両が並べられた。土方が合図をすると、大戸の方からも、
厨房の方からも十四、五人の武士が駆け込んできて、五千両の金を何処ともなく運び去っ....
「にらみ鯛 」より 著者:佐藤垢石
を命ずると、その当夜の内膳司は、思いがけなきご用命に接して、何かお肴をも奉らんと
厨房を捜したが、何もない。 『夕べの御食奉りし後は、何参らせん品もございません』....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
明方、まだ日の出ぬ中、女主人の方へ暖炉造の職人が来た。イワン、デミトリチは彼等が
厨房の暖炉を直しに来たのであるのは知っていたのであるが、急に何だかそうでは無いよ....
「母子像」より 著者:久生十蘭
ンツだけだったから助かったんだ」 太郎はどうしても死にたいので、野分の吹く夜、
厨房用の石油を盗みだして寄宿舎の裏の野原へ行くと、崩れかけたコンクリートの掩体壕....
「山椒魚」より 著者:北大路魯山人
う気がした。そればかりでなく、腹を裂き、肉を切るに従って、芬々たる山椒の芳香が、
厨房からまたたく間に家中にひろがり、家全体が山椒の芳香につつまれてしまった。おそ....