厭う[語句情報] » 厭う

「厭う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

厭うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
い、臥蚕である。しかるにこの不生産的の美人は、蚕の世を利するを知らずして、毛虫の厭うべきを恐れていた、不心得と言わねばならぬ。 で、お蔦は、たとい貴郎が、その....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
な時は謙遜となり、私の愛する時愛し、私の憎む時憎み、私の欲するところを欲し、私の厭うところを厭えばいいのである。 かくしてお前は、始めてお前自身に立ち帰ること....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
。彼は北外畜養員に挨拶をして、遁げるように室を出た。 彼は人に姿を見られるのも厭うように、スタスタと足早に立ち去った。園内の反対の側に遺されたる藤堂家の墓所が....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
「手足に五寸釘を打たりょうとても、かくまでの苦悩はございますまいぞ、お情じゃ、禁厭うて遣わされ。」で、禁厭とは別儀でない。――その紫玉が手にした白金の釵を、歯の....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
のであったが、爺さんは、耳をそらし、口を避けて、色ある二品のいわれに触れるのさえ厭うらしいので、そのまま黙した事実があった。 ただ、あだには見過し難い、その二....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
もし強いて戸を開きて光明その膚に一注せば、渠は立処に絶して万事｜休まむ。 光を厭うことかくのごとし。されば深更｜一縷の燈火をもお貞は恐れて吹消し去るなり。 ....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
なるほど、やっと私にも判りました。なぜお前さんがそんなに暗い顔をして自分の再生を厭うかということが……。酒がないからでしょう。では、まあ仕方がないから、酒なしで....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
で繋いで三棟に分けた、門には新築の長屋があって、手車の車夫の控える身上。 裳を厭う砂ならば路に黄金を敷きもせん、空色の洋服の褄を取った姿さえ、身にかなえば唐め....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
、ものある影を、臆病のために嫌うでもなく、さればとて、群り集る蚊の嘴を忍んでまで厭うほどこじれたのでもないが、鬱陶しさに、余り蚊帳を釣るのを好まず。 ちとやそ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
約一年間もロンドン市中を騒がしたのであった。しかし、わたしはそれをＪ氏に語るのを厭うて、そのまま額の裏をとじてしまった。 金庫のうちの第一の抽斗をあけるのは、....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
のひかりで現れだした。愛の何たるかを知ったことが、私をして、詩のような愛情をさえ厭うようにしてしまった。 吾々人間は云わばあとからあとへ生れて来る愚にもつかな....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
せてもよかろうということになって、老人は南向きの縁に腰をかけると、女たちは聞くを厭うように立去ってしまって、男ばかりがあとに残った。 「お前はここらに黒ん坊とい....
「車中有感」より 著者:上村松園
外の風景へ想いをはしらすわたくしは――実は車内の、ごたごたした雰囲気に接するのを厭うためででもあった。 汽車の中は、ひとつの人生の縮図であり、そこにはいろいろ....
「山吹」より 著者:泉鏡花
。……夜はお姑のおともをして、風呂敷でお惣菜の買ものにも出ますんです。――それを厭うものですか。――日本橋の実家からは毎日のおやつと晩だけの御馳走は、重箱と盤台....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
したが、勝山の世盛には、団扇車で侍女が、その湯上りの霞を払った簪の花の撫子の露を厭う日覆には、よその見る目もあわれであった。 「いえ、そりゃ、あの私ンでございま....