厭き[語句情報] » 厭き

「厭き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

厭きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
在る過去を現在と対立させて、その比較の上に個性の座位を造ろうとする虚ろな企てには厭き果てたのだ。それは科学者がその経験物を取り扱う態度を直ちに生命にあてはめよう....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
|仲通りの絵草紙屋へ参りましたが、十|日で駈出しました」 平「其の方のようにそう厭きては奉公は出来ないぞ」 孝「いえ私が倦きっぽいのではございませんが、私はどう....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
、俺は決して薄情じゃない。 お蔦 ええ、薄情とは思いません。 早瀬 誓ってお前を厭きはしない。 お蔦 ええ、厭かれて堪るもんですか。 早瀬 こっちを向いて、まあ....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
女房になりたいという、お前も得心の上で田舎の此の浦賀くだりへ呼寄せながら、今更|厭きた、家へ帰すに手がないとって、まア云わば相対間男して罪を被せて、女郎に横須賀....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
どうも請合いかねる。……明白に云うと、この上降続いちゃ、秋風は立って来たし、さぞ厭き厭きして、もう引上げやしまいか、と何だかそれが寂しかったよ。 風はなかった....
おとずれ」より 著者:国木田独歩
五月二日付の一通、同十日付一通、同二十五日付の一通、以上三通にてわれすでに厭き足りぬと思いたもうや。もはやかかる手紙願わくは送りたまわざれとの御意、確かに....
次郎物語」より 著者:下村湖人
をつける真似をしていた。しかし、もう同じような遊びを小半時も続けていたので、少し厭きが来たところだった。厭きが来ると、次郎はいつもお兼だけをのけ者にしてお鶴と二....
雪の宿り」より 著者:神西清
だ。俺は東福で育って管領に成り損ねて相国に逆戻りした男だ。五山の仏法はよい加減|厭きの来るほど眺めて来た。そこで俺の見たものは何か。驚くべき頽廃堕落だ。でなけれ....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
」 フランス革命に取材したことについては、作者が年来絶えず繰返して読み、決して厭きることのなかった、トマス・カーライルの名著「フランス革命史」に負うところが極....
稀有の犯罪」より 著者:小酒井不木
」と仰しゃるにちがいありません。実際そのとおりで、宝石とピストルにはお互いにもう厭き厭きしてしまいました。 けれども、懐中時計が宝石を断念する事ができぬと同じ....
死の接吻」より 著者:小酒井不木
セーショナルな探偵小説に力を入れても見たが、いずれも長続きがしなかった。彼はこの厭き性を自分ながら不審に思った。そうして、恐らく自分の持って生れた臆病な性質が、....
素人製陶本窯を築くべからず」より 著者:北大路魯山人
偉大な仁清の作品に着眼し、これが再現を期すべく発奮した翁の愛美心と勇猛心と時流を厭きたらずとする努力には、さすが前山翁であると、私もその企図的精神に感歎し、賞賛....
五重塔」より 著者:幸田露伴
十有余の老和尚、骨は俗界の葷羶を避くるによって鶴のごとくに痩せ、眼は人世の紛紜に厭きて半ば睡れるがごとく、もとより壊空の理を諦して意欲の火炎を胸に揚げらるること....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
に逢った跡で、腹ごなしに来る客もある。 それから一番の困りものは 新聞雑誌を読み厭きてから遣って来る。 仮装舞踏へでも行くように、うっかりして駆け附ける。 その....
富籤」より 著者:神西清
めに出なくていいのだ、とそんなことを身体ぜんたいで感じている。寝ころんでいるのが厭きてくると、こんどは乾草の原っぱへ出かけたり、森へ茸をとりに行ったり、でなけれ....