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厭世家
「厭世家〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
厭世家の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「職工と微笑」より 著者:松永延造
次が、竹の生死問題である。彼は切られる竹を惜しむのに、死んで行く人を祝福する
厭世家である。此の矛盾の為めに、私は彼の魂を握る事が出来ない。其処で直接彼に質問....
「野分」より 著者:夏目漱石
らい親しいものはなかった。 高柳君は口数をきかぬ、人交《ひとまじわ》りをせぬ、
厭世家《えんせいか》の皮肉屋と云われた男である。中野君は鷹揚《おうよう》な、円満....
「善の研究」より 著者:西田幾多郎
力を増進する者は快楽であるという、しかし生活力を増進するのが何故に快楽であるか、
厭世家はかえって生活が苦痛の源であるとも考えているではないか。また或論者は有力な....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
た時に、はたして彼の推測が適中していたのを知った。何故なら、その瞬間、あの憂鬱な
厭世家めいたレヴェズの視線――それには異様な情熱が罩もり、まるで野獣のように、荒....
「戦話」より 著者:岩野泡鳴
保証がつくなら、今、直ぐにでも、首くくって死んでしまいたい。」 「君は、元から、
厭世家であったが、なかなか直らないと見える。然し、君、戦争は厭世の極致だよ。世の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
った、ドコの国、いずれの時代にも、その時代を厭《いと》う人間はあるものだ、称して
厭世家という。そういうことは、いずれの時代にもあるが、いつも世間には通用しない。....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
彼が礼服をきたメフィストフェレスになつたからで、メフィストフェレスといふものは、
厭世家で、同時に巨万の財宝を地下に貯へてゐるものなのである。 まさしく彼は資本....
「墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
放蕩と世俗の垢にまみれた、何ひとつ取り得のない一介の国際的ルンペン。愚にもつかぬ
厭世家《ペシミスト》。賭博者。 これでは、あまり種属がちがいすぎるようだ。いく....
「郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
を懐かしく、肌身に抱いて沁々と愛撫《あいぶ》している心境である。「侘び」は決して
厭世家《ペシミスト》のポエジイでなく、反対に生活を愛撫し、人生への懐かしい思慕を....
「二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
せようとする、あの貪慾未練の逆妄の徒。 なべての、野心家、博識者、「生きている
厭世家」たちよ。 僕は君たちの、傷だらけの醜い顔よりも、あの、悩みなき、育ちの....
「教育の目的」より 著者:新渡戸稲造
可以濯吾纓。滄浪之水濁兮、可以濯我足」と歌って諷刺した。この歌の意味は、「お前が
厭世家になって河に飛込み、あたら一命を捨つるのは馬鹿なことだ。聖人というものは、....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
、一時、傍の目には気が変になったのではないかと気遣われたほどで、御自分もすっかり
厭世家になってしまって、この世に何の望みもなくなったと云っていました。 夫人は....