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厳し
「厳し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
厳しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬」より 著者:芥川竜之介
下《さ》げの頭を下げたりしていた。………
それからもう何年かたった、ある寒さの
厳しい夜、僕は従兄の家の茶の間《ま》に近頃始めた薄荷《はっか》パイプを啣《くわ》....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
編笠《あみがさ》を深くして、敵の行方《ゆくえ》を探して歩いた。しかし兵衛も用心が
厳しいと見えて、容易に在処を露《あらわ》さなかった。一度左近が兵衛らしい梵論子《....
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
そうそう、あの日は紀元節《きげんせつ》だっけ。何でも朝から雨の降り出した、寒さの
厳しい午後だったが、千枝子は久しぶりに鎌倉《かまくら》へ、遊びに行って来ると云い....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
《ろうじゅう》若年寄衆へこの急変を届けた上で、万一のために、玄関先から大手まで、
厳しく門々を打たせてしまった。これを見た大手先《おおてさき》の大小名の家来《けら....
「夢」より 著者:芥川竜之介
《あたま》だった。――そんな夢も色彩ははっきりしていた。
わたしの下宿は寒さの
厳しい東京のある郊外にあった。わたしは憂鬱《ゆううつ》になって来ると、下宿の裏か....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
たまらない淋しさに襲われるのを知りぬいていながら、激しい言葉を遣《つか》ったり、
厳しい折檻《せっかん》をお前たちに加えたりした。
然し運命が私の我儘《わがまま....
「二つの道」より 著者:有島武郎
歩む人。それをながめている人の心は、勇ましい者に障《さわ》られた時のごとく、堅く
厳しく引きしめられて、感激の涙が涙堂に溢れてくる。
いわゆる中庸という迷信に付....
「星座」より 著者:有島武郎
して、それに手を延ばすまでの一挙一動はもとより、どういう風に気持が動いているかを
厳しく看守しながら、いささかでも父の権威を冒すような風があったら、そのままにはし....
「三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
通りである。しかし悪魔に出会ったことはファウストの悲劇の五幕目ではない。或寒さの
厳しい夕、ファウストは騎士になった悪魔と一しょに林檎の問題を論じながら、人通りの....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
き要求なる個性の表現の為めに、あらゆる有縁の個性と私のそれとを結び付けようとする
厳しい欲求の為めに、私は敢えて私から出発して歩み出して行こう。 私が餓えている....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
ラはいつでも十六歳の時の出来事を思い出さずにはいなかった。殊にこの朝はその回想が
厳しく心に逼った。 今朝の夢で見た通り、十歳の時|眼のあたり目撃した、ベルナル....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
なかった。 一時間の後に二人の警部が十数人の巡査を連れて来船した。自分等は其の
厳しい監視の下に、一人々々凡て危険と目ざされる道具を船に残して、大運搬船に乘り込....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
いた事は、我々友人の間にさえ打ち消し難い事実である。(天下に作家仲間の友人程、手
厳しい鑑賞家が見出されるであろうか?)この事実の存する限り、如何に割引きを加えて....
「初雪」より 著者:秋田滋
た。彼女が診てもらった医者は、子供は一生出来まいと云った。 前の年よりも一しお
厳しい、一しお身に浸みる寒さが、絶えず彼女を悩ました。彼女は寒さに顫える手を燃え....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
をした老紳士がいて、眉が眼の上に張りだしていたが、この人は終始、重々しい、むしろ
厳しい顔をしていた。そして、ときどき腕を組み、うつむいて、床を見つめ、あたかも心....