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厳冬
「厳冬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
厳冬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
あの過去に対する寛大な思い出が、ゆるやかに浜に立つ人の胸に流れこむ。五か月の長い
厳冬を牛のように忍耐強く辛抱しぬいた北人の心に、もう少しでひねくれた根性にさえな....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
ああ今はなき先輩諸兄よ、スキーよ、山よ、シーハイル、シーハイル! (一九三〇)
厳冬の薬師岳から烏帽子岳へ 昭和五年十二月三十日 雪 猪谷九・三〇 土十二・一〇....
「断層顔」より 著者:海野十三
「行きますとも。ですが、一体どこへ?」 帆村の目あては、例のだらだら坂だった。
厳冬であるが、ここは地下街のことだから、気温は二十度に保たれている。 帆村は確....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
ものであったのである。借さぬものを無理借りする訳には行かぬので、氏郷の軍は奥州の
厳冬の時に当って風雪の露営を幾夜も敢てした困難は察するに余りある。斯様いう場合、....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
たことだが、彼が暗黒の箱の中で気がついてからこっち、室内は春のように暖かだった。
厳冬の真唯中だというに、まるで春のような暖かさは不思議だった。ところがいま急に熱....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
雪の降った形容だろうが、沫雪は降っても消え易く、重量感からいえば軽い感じである。
厳冬の雪のように固着の感じの反対で消え易い感じである。そういう雪を、ハダレといい....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
。 お城の堀と石垣と、松との見える小さな部屋へ、私は体を落ちつけた。 霧深い
厳冬のことであった。 「彼女が驚こうが驚くまいが、私の知ったことではない。彼女が....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
り渡った。 誰が調べているのだろう? 何んのために調べているのだろう? それも
厳冬の雪の戸外で! ポン、ポン、ポン! ポン、ポン、ポン! 一音、一音が一....
「寒鮒」より 著者:佐藤垢石
。 寒鮒はどこでも釣れるというわけではない。昔から場所が定まっている。それは、
厳冬になって川底の条件が永い間鮒が落ち込んで棲みつくのに適しているためであろうと....
「巣離れの鮒」より 著者:佐藤垢石
くると、集団を解いて静かに動きはじめる。これを巣離れの鮒というのである。 鮒は
厳冬の頃でも寒鮒釣りの鈎にかかるが、それは餌に絡まる振舞が甚だ不活発であるから、....
「ローマ法王と外交」より 著者:国枝史郎
洗足で、毛織の服を着て、すなわちみすぼらしい平民の姿で城門の前に佇み、氷柱むすぶ
厳冬の候を外気にうたれながら法王面謁の許可の下るのを待った。その日が暮れ翌日とな....
「父の墓」より 著者:岡本綺堂
大粒の霰はらはらと袖にたばしりて、満目荒凉、闇く寒く物すごき日なりき。この凄じき
厳冬の日、姪の墓前に涙をそそぎし我は、翌る今年の長閑に静なる暮春のこの夕、更にこ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
らい住んで居る。そうして三人共有の土鍋が一つというような訳。だからまあチベットの
厳冬の夜、ごく寒い時分どうしてこの室内で過すことが出来たろうかと思うて、そういう....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
接し、当港シナ街にては、各戸新国旗を掲げて祝意を表す。船中よりハワイ島を望むに、
厳冬の季節に近きも、山色蒼々として夏山に似たり。全島峰巒より成り、往々赤土を露出....
「北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
の素晴らしい変化は今までの退屈を補い尽してなお余りがある。冬の短い地方ではどんな
厳冬でも草もあれば花もある。人の生活にも或る華やかさがついてまわっている。けれど....