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厳寒
「厳寒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
厳寒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人間失格」より 著者:太宰治
には、あきらかに誰にも汚されていない処女のにおいがしていました。 としが明けて
厳寒の夜、自分は酔って煙草を買いに出て、その煙草屋の前のマンホールに落ちて、ヨシ....
「おしゃれ童子」より 著者:太宰治
校のように見えるだろうと、すこし自信もあったようです。白のカシミヤの手袋を用い、
厳寒の候には、白い絹のショオルをぐるぐる頸《くび》に巻きつけました。凍え死すとも....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
かな風情の四肢五体、凛然として今や香気を放ち、紫紺絖小姓袴に大振袖の香るあたり、
厳寒真冬の霜の朝に咲き匂う白梅のりりしさも、遠くこれには及ばない程のすばらしさで....
「わが戦争に対処せる工夫の数々」より 著者:坂口安吾
つまで水風呂にはいれるか、ひとつ冬までつゞけてやらうなぞと考へて、うまくいつたら
厳寒をくゞりぬけて来年の夏まで持つて行かうといふ、全く私はヒマ人なので、さうだら....
「故郷」より 著者:井上紅梅
わたしは
厳寒を冒して、二千余里を隔て二十余年も別れていた故郷に帰って来た。時はもう冬の最....
「紅白縮緬組」より 著者:国枝史郎
呼び止めた。女乗り物はピタリと止まり十人の武士は振り返った。 「深夜と申し殊には
厳寒、女乗り物を担がれて方々は何処へ参らるかな?」 紋十郎はまず尋ねた。 白....
「母たち」より 著者:小林多喜二
涙を出して笑ったの。 ところが、本当に今年のこっちの冬というのは十何年振りかの
厳寒で、金物の表にはキラ/\と霜が結晶して、手袋をはかないでつかむ」だったよ。 ....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
おまえは死ぬぞと脅かすような、大海の轟きが、たびたび足もとに聞えてきた。しかし、
厳寒がまたやってきて、安全な海の道を作ってくれた。 自分の食べた食糧の量から見....
「落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
をはなれることができるから、サムライの生活をいとわないようになった。 そして、
厳寒をのぞいて、たいがい川へ稽古にでかけて、御殿づとめを怠けていた。だから好んで....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
正之君 一号残り御贈り被下度鳴雪翁宛にてもよろし。 当地昨今
厳寒 手|凍えてしば/\筆の落んとす 『ホトトギス』が松山で出ている間は余はあま....
「飢餓地帯を歩く」より 著者:下村千秋
の温度には達しなかったためであった。「ばかりか、八月九月には、二度までも、非常な
厳寒と降雹とに見舞われた。水稲も、畑の作物も、僅かにその茎を育てたきり、ついに満....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
。従って名実ともに鏨は冴えた、とその道のものは云った。が惜しいかな――去年の冬、
厳寒に身を疼んで、血を咯いて、雪に紅の瓜を刻んだ。 昭和二(一九二七)年五月....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
に澄切っているのは、軈て真黒な雪雲を運び出す先触と知られた。人馬の交通を遮るべき
厳寒の時節も漸く迫り来るのである。 「今から丁度五十年前の事だから、俺も真実の話....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
わって私の身を危うする憂いがあるのみならず、いくら沢山着物を着てもどうもこの地の
厳寒中の寒気に堪え得ることは出来ないだろうという想像がついたです。
既にその時....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
んなふうに「あの男の護衛兵はたいがい髭のない少年で、シャツも着ていません、それで
厳寒の日に、まるで泳ぎイヌのように川を渡ります」 こう説明した。「どういう魅力で....