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厳然
「厳然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
厳然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
を鍍金《めっき》しながら、何ともその問に答えなかった。何か人力に及ばないものが、
厳然と前へでも塞《ふさ》がったように。
(大正十年八月)....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
はこの時彼等の間へ、軍司令官のN将軍が、何人かの幕僚《ばくりょう》を従えながら、
厳然と歩いて来たからだった。
「こら、騒いではいかん。騒ぐではない。」
将軍は....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
者は恋愛上の衒学者《げんがくしゃ》と云わなければならぬ。あらゆる処女崇拝者の何か
厳然と構えているのも或は偶然ではないかも知れない。
又
勿論処女らし....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
聯隊の機動演習にも参加したものである。体操の教官――ある陸軍大尉はいつも僕らには
厳然としていた。が、実際の機動演習になると、時々命令に間違いを生じ、おお声に上官....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ての私に取っては、それよりも大切な事は私が愛しかつ憎むという動かすことの出来ない
厳然たる事実があるばかりだ。この一見矛盾した二つの心的傾向の共存は、私をいらだた....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
の西へ続くものは、重々しい鉄扉がときどき開かれたが、その東へ通ずる坑道は何故か、
厳然と閉鎖されたまま、その扉に近づくことは、司令部付のものと雖も禁ぜられていた。....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
弾が十四、五発つきささっているのは、胸にこたえる風景であった。同校の防火壁だけが
厳然と焼け残り、その両側は空であるのも異様な風景であった。 ◯米国飛行士一名、五....
「海底大陸」より 著者:海野十三
元気がかいふくしたうえでないと、なにを聞いてもいけないぞ」 と、エバン船長は、
厳然たるなかに、深いおもいやりのある言葉をかけた。 スミス警部は、船長の方をチ....
「金属人間」より 著者:海野十三
さん。いままでの話は、おとぎばなしや仮定であったかもしれんですが、ここに新しく、
厳然《げんぜん》たる怪事実が存在することを発見しました。このものは、考えれば考え....
「雷」より 著者:海野十三
に、豪雨に叩かれながら腹匍いになった。小手を翳して仰げば、避雷針は一間ほど上に、
厳然と立っていた。そこには太い撚り銅線がシッカリと結びつけられて居り、その銅線は....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
な気持で艦長のもとをたずねたのであるが、扉を開けてみると、艦長は形を崩しもせず、
厳然と事務机に向かっていられるのである。 大尉は、艦長と一杯のむつもりで、片手....
「空襲警報」より 著者:海野十三
の午前中に、各地からの知らせが集ってきた。東部防衛司令官香取中将は作戦室の正面に
厳然と席をしめ、鹿島参謀長以下、幕僚を大|卓子のまわりにグルリと集め、秘策をねっ....
「雷同性に富む現代女流画家」より 著者:上村松園
潜む力の発現として作家を容型しているものならばたとえ似交った多くの美人画の中にも
厳然と相|容れざる特異な相が現われていなければなりません。いったい現代では「女絵....
「無表情の表情」より 著者:上村松園
、その面と人とが精神も肉身も合致合体、全く一つのものに化してしまって、さながらに
厳然たる人格と心格を築き出します。この境涯は筆紙言舌の限りではありません。 こ....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
にして信教篤実なるにあらず、その三分の二は内実はなはだ疑わしといえども、表面には
厳然たる宗教家たる言行を示すをもって、世間一般に宗教家は品行端正、信教篤実なりと....