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去年
「去年〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
去年の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
こまで考えた時に、彼はそれと同じような出来事を、近い過去の記憶に発見した。それは
去年の春、彼のところへ弟子《でし》入りをしたいと言って手紙をよこした、相州朽木上....
「彼」より 著者:芥川竜之介
ほとんど彼に似ていなかった。
「その子供は今年《ことし》生れたの?」
「いいえ、
去年。」
「結婚したのも
去年だろう?」
「いいえ、一昨年《おととし》の三月ですよ....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
がら、盛んに妓品《ぎひん》なぞを論じ立てるのである。
その王生がどう云う訳か、
去年の秋以来忘れたように、ばったり痛飲を試みなくなった。いや、痛飲ばかりではない....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
らしくもない、下品な風采《ふうさい》を具えていた。お蓮はこの老人の前に、彼女には
去年|行方《ゆくえ》知れずになった親戚のものが一人ある、その行方を占って頂きたい....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
を感じると、内蔵助の心には、安らかな満足の情が、今更のようにあふれて来た。丁度、
去年の極月《ごくげつ》十五日に、亡君の讐《あだ》を復して、泉岳寺《せんがくじ》へ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
一は、そこにあった頼信紙へ、せっせと万年筆を動かしていた。ある地方の高等学校へ、
去年の秋入学した兄、――彼よりも色の黒い、彼よりも肥《ふと》った兄の顔が、彼には....
「早春」より 著者:芥川竜之介
れ木をまいている南洋の大蛇《だいじゃ》の前に立った。この爬虫類の標本室はちょうど
去年の夏以来、三重子《みえこ》と出合う場所に定《さだ》められている。これは何も彼....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
った。が、いつも彼女には一籌《いっちゅう》を輸《ゆ》する外はなかった。彼女は実に
去年の※をも五分前の※のように覚えていた。
又
わたしは不幸にも知っ....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
|谷《たに》の御山荘も、平家《へいけ》の侍に奪われた事、北《きた》の方《かた》は
去年の冬、御隠れになってしまった事、若君も重い疱瘡《もがさ》のために、その跡を御....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
の東京から聟《むこ》に来たことは耳にしていた。のみならず家附《いえつき》の細君は
去年の夏とかに男を拵《こしら》えて家出したことも耳にしていた。
「魚《さかな》の....
「魚河岸」より 著者:芥川竜之介
去年の春の夜《よ》、――と云ってもまだ風の寒い、月の冴《さ》えた夜《よる》の九時....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
も結局答えられる事がないのかと云う気になった。所が丁度そう云う絶望に陥りかかった
去年の秋の事である。自分は最後の試みとして、両肥《りょうひ》及び平戸《ひらど》天....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
婆さんは益疑わしそうに、日本人の容子を窺っていました。 「私の主人の御嬢さんが、
去年の春|行方知れずになった。それを一つ見て貰いたいんだが、――」 日本人は一....
「近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
に尻を据えて、死身に修業をしなければなるまい。 近藤君に始めて会ったのは、丁度
去年の今頃である。君はその時神経衰弱とか号して甚意気が昂らなかった。が、殆丸太の....
「寡婦」より 著者:秋田滋
ったのです。あなた以外の者に自分のああしたすがたを見つけられたくありませんので、
去年、僕があなたを恋していると申し上げた、庭のあの場所まで来て、うえを見て下さい....