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参らす
「参らす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
参らすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
|賤《いや》しき厠卒《こもの》ありて小さき籃《かご》に無花果《いちじく》を盛りて
参らす。女王の該撒《シイザア》に送れる文《ふみ》に云う。願わくは安図尼《アントニ....
「薤露行」より 著者:夏目漱石
あらず。 「紅《くれない》に人のまことはあれ。恥ずかしの片袖を、乞《こ》われぬに
参らする。兜《かぶと》に捲《ま》いて勝負せよとの願なり」とかの袖を押し遣る如く前....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
唯見て、嬉しそうに膝に据えて、熟と視ながら、黄金の冠は紫紐、玉の簪の朱の紐を結い
参らす時の、あの、若い母のその時の、面影が忘れられない。 そんなら孝行をすれば....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
いえど、俺の秘策に掛っては……」 「秘策というと……?」 「松明仕掛けの睡り薬で
参らすんだ。その作り方は、土龍、井守、蝮蛇の血に、天鼠、百足、白檀、丁香、水銀郎....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
竿を操り、右に控えたお茶坊主は金蒔絵したる餌箱を恭しく捧持して、針の餌を取り替え
参らすがその役目、左に控えた今ひとりのお茶坊主は、また結構やかなお茶道具一式を揃....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
地がいたして居ります。
七月十日信濃丸にて
馨子
愛する御姉君に
参らす
*
去廿一日午後無事シヤトルに上陸いたしましたから、御....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
の苦痛から逃れたかったかが察せられる。「たとひすかされてゐるのでも仏の本願を信じ
参らす」といい「ただ善き人の教へを聞いて信ずるより別に仔細はない」といいほとんど....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
。 「……干鯛かいらいし……ええと、蛸とくあのく鱈、三百三もんに買うて、鰤菩薩に
参らする――ですか。とぼけていて、ちょっと愛嬌のあるものです。ほんの一番だけ、あ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
りはせねば、我が袖、鏡と御覧ぜよ。今、この瞳に宿れる雫は、母君の御情の露を取次ぎ
参らする、乳の滴ぞ、と袂を傾け、差寄せて、差俯き、はらはらと落涙して、 「まあ、....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
て、救うことをなし得ざる姉上、姉上が楓のために陥りたまいしと聞く、その境遇に報い
参らす。....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
預るこの老番頭にあてて、津に出張中の主人から、里見氏の令夫人参宮あり、丁寧に宿を
参らすべき由、電信があったので、いかに多数の客があっても、必ず、一室を明けておく....
「多神教」より 著者:泉鏡花
媛神 男は? 巫女 これを御覧遊ばされまし。(胸の手箱を高く捧げ、さし翳して見せ
参らす。) 媛神 花の都の花の舞台、咲いて乱れた花の中に、花の白拍子を舞っている....
「にらみ鯛 」より 著者:佐藤垢石
ように調理して、お銚子に添え、近侍の公卿まで運びきたった。公卿はこれを上皇に進め
参らすと、龍顔麗わしくご盞を重ねられた上、この鱠をご賞美遊ばされた。そして、この....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
した手に、待ちこがれた包を解いた、真綿を幾重にも分けながら。 両手にうけて捧げ
参らす――罰当り……頬を、唇を、と思ったのが、面を合すと、仏師の若き妻の面でない....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
句だった。「この手紙持参の者は、閣下の真珠が幾ばくに値ぶみされ候かを、閣下に告げ
参らすべし。余は、それらの宝石について一ペニイの駆引きもなき、ぎりぎりの値ぶみを....