反芻[語句情報] »
反芻
「反芻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
反芻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「男女同権」より 著者:太宰治
いたのではなかろうかしら、と老いの寝ざめに、わが幼少からの悲惨な女難のかずかずを
反芻《はんすう》してみて、やっぱり、胸をかきむしりたい思いに駆られる事もございま....
「乞食学生」より 著者:太宰治
と護《まも》らなん、その歌の一句を、私は深刻な苦笑でもって、再び三度《みたび》、
反芻《はんすう》しているばかりであった。....
「食魔」より 著者:岡本かの子
左の肘を突立て、もう上体をふらふらさしていた。※気をやり、そして、人前をも憚らず
反芻する癖があった。壁越しに聞いている逸子は「また、始めた」と浅間しく思う。家庭....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
かの女は、潜り門に近い洋館のポーチに片肘を凭せて、そのままむす子にかかわる問題を
反芻する切ない楽しみに浸り込んだ。 洋画家志望のかの女のむす子は、もう、五年も....
「荷」より 著者:金史良
まいと、不図私は思ったことである。爺はその固く喰いしばった口の中で、どんな言葉を
反芻しているのだろう、諸君も知っているのだ。炊事場の掃溜場から、叺を吊した例の棒....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
――オイ! 側にいた笠原が頭だけをムックリ挙げて、森本を見た。 ――……?
反芻か? 嫌な奴だな。 彼は極り悪げにニヤ/\した。 森本が会社のことを色々....
「御萩と七種粥」より 著者:河上肇
、むしろ反感を残す。場合によっては、その反感がいつまでも消えず、時々思い出しては
反芻するうちに、次第に苦味を増しさえすることがある。 私のこうした傾向は人並よ....
「作家の像」より 著者:太宰治
、小説だったら、いくらでも濶達に書けるのだが、と一箇月まえから腹案中の短篇小説を
反芻してみて何やら楽しく、書くんだったら小説として、この現在の鬱屈の心情を吐露し....
「ピタゴラスと豆」より 著者:寺田寅彦
はいけない」というものが色々あった、例えばある二、三の鳥類、それから獣類の心臓、
反芻類の第一胃、それから魚類ではかながしらなどがいけないものに数えられている外に....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
解の余地もない怠惰者だった。ただ横にころがって自分の秣草《まぐさ》と夢とを平和に
反芻《はんすう》することばかり求めてる、無気力な動物だった。しかもその夢から覚め....
「怒りの虫」より 著者:豊島与志雄
びりとお目にかかりましょうね。」 彼女の最後の言葉を、木山は炬燵にもぐり込んで
反芻してみた。 ≪のんびりと、ゆったりと、たのしく……初めのうちはそうだったが、....
「博物誌」より 著者:岸田国士
だいである。おまけに、彼女は何に限らず、いつでも二度ずつ食う。というのが、つまり
反芻するのである。 私の姿を見ると、彼女は軽い小刻みな足どりで、割れた木靴を引....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
遥の間に拾い喰っておいた、別にそれだけの骨折をした甲斐もない食物を口の中へ戻して
反芻したりしていた。館の人々の何人かと、宿駅の人々の何人かと、租税を取立てる役人....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
視眼鏡の奥で睫毛の疎い眼を学徒らしく瞑目していた。それが景子には老文豪の話を頭で
反芻して居るらしく見えた。暫らくそうさしといて、やがて景子が口に出して声をかけよ....
「遍路の正月」より 著者:種田山頭火
私もどうやら思い出を
反芻する老いぼれになったらしい。思い出は果もなく続く。昔の旅のお正月の話の一つ。....