反響[語句情報] »
反響
「反響〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
反響の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
……
信輔はこの貧困を憎んだ。いや、今もなお当時の憎悪は彼の心の奥底に消し難い
反響を残している。彼は本を買われなかった。夏期学校へも行かれなかった。新らしい外....
「春」より 著者:芥川竜之介
一度|咳払《せきばら》いをした。が、咳払いは天井の硝子《ガラス》にたちまち大きい
反響を生じた。彼はその
反響に恐れたのか、やはり何も言わずに歩きつづけた。広子はこ....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
》先生は、こう同じ調子で繰返した。それから今度はその後へ、丁度その諸君と云う声の
反響を捕えようとする如く、
「これから私《わたくし》が、諸君にチョイス・リイダア....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
声に、――実際その哄笑《こうしょう》の声は、烈しい敵味方の銃火の中に、気味の悪い
反響を喚《よ》び起した。
「万歳! 日本《にっぽん》万歳! 悪魔降伏。怨敵《おん....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
そりと高い草を伸ばしていました。僕等の話し声はこの松林の中に存外《ぞんがい》高い
反響を起しました。殊にK君の笑い声は――K君はS君やM子さんにK君の妹さんのこと....
「槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
おおい」と答える。小さい時に掘井戸の上から中をのぞきこんでおおいと言うとおおいと
反響をしたのが思い出される。まるいのは市村の麦わら帽子、細長いのは中塚の浴衣《ゆ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
たんだ。」と、恥しそうに答えました。これを聞くと泰さんは、「妙な顔が映った?」と
反響のように繰返しながら、新蔵のコップを覗きこみましたが、元より今はそう云う泰さ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
町も歩いたと思うのに赤坊はまだ泣きやまなかった。縊《くび》り殺されそうな泣き声が
反響もなく風に吹きちぎられて遠く流れて行った。
やがて畦道《あぜみち》が二つに....
「星座」より 著者:有島武郎
秋さびた大原野を駈け通った。小躍《こおど》りするような音を夜更けた札幌の板屋根は
反響したが、その音のけたたましさにも似ず、寂寞《せきばく》は深まった。霰《あられ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
だった。十二時の交代時間になっていたのだ。遠い山のほうからその汽笛の音はかすかに
反響になって、二重にも三重にも聞こえて来た。 もう自然はもとの自然だった。いつ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
。 やがて百人の処女の喉から華々しい頌歌が起った。シオンの山の凱歌を千年の後に
反響さすような熱と喜びのこもった女声高音が内陣から堂内を震動さして響き亘った。会....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
束のままで、すぐに仕事に没頭した。大理石はアウレリウスの冴えた槌の音をそのままに
反響した。彼は長い間、誰をも仕事場へ入れずに、一心不乱に仕事に努めていたが、ある....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
梢に聞ゆ、とすれど、人の在るべき処にあらず。また谷一ツ彼方に謡うが、この山の端に
反響する、それかとも思われつ。試みにソト堂の前に行きて――われうかがいたり。 ....
「罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
チは行く。 監獄の廊下は寂しい。十五人の男の歩く足音は、穹窿になっている廊下に
反響を呼び起して、丁度大きな鉛の弾丸か何かを蒔き散らすようである。 処刑をする....
「色盲検査表の話」より 著者:石原忍
へ寄贈したのであります。それが大正七年のことでした。 その後しばらくの間は何の
反響もなかったのですが、そのうちにまず北欧スカンジナビア諸国においてその真価が認....