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「取っとき〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

取っときの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
動かす人々の群れから起こった。田川夫人は忙《せわ》しく葉子から目を移して、群集に取っときの笑顔《えがお》を見せながら、レースで笹縁《ささべり》を取ったハンケチを....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
んから」 「そんな生意気なことを言うもんじゃない。骨折り賃だ。まあ野暮を言わずに取っときたまえてことさ」 六十六銭五厘はまさに御者のポケットに闖入《ちんにゅう....
あやかしの鼓」より 著者:夢野久作
云われた。みんなポカンとした顔になった。 みんなが裏二階を降りると老先生は私に取っときの洋羮を出して下さった。そうして長い煙管《きせる》で刻煙草《きざみ》を吸....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
ら黙って見ている。「一斤くらいじゃあ、承知が出来ねえんだが、仕方がねえ、いいから取っときゃ、今に食ってやらあ」と自分のために誂《あつら》えたもののごとくいう。「....
鉄鎚」より 著者:夢野久作
るようであったが、そんなのに対しては、特別に景気のいい話と高笑いを浴びせかけて、取っときの智慧を授けているかのように装った。しかし、そんな連中が居なくなったあと....
骸骨の黒穂」より 著者:夢野久作
で、一パイ屋の藤六藤六といって人気がよかった。巡査が茶を飲みに立寄ったりすると、取っときの上酒をソッと茶碗に注いだり、顔の通った人事係が通ると、追いかけて呼び込....
暗黒公使」より 著者:夢野久作
してよく知っている筈ですから……。 ……と言葉を尽して忠告したので、その通りに取っときの変装をした物で、ここへ来がけに警視庁へ立ち寄って来た時も……私が志免で....
支那米の袋」より 著者:夢野久作
その中でたった一つ、ドンナお金持ちでも滅多に出来ない、一番ステキな、一番贅沢な、取っときの遊びがあるっていうのよ。ねえ……面白いでしょう……それはねえ。今云った....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
奴があるかい。馬鹿野郎、ばちあたり。旨い汁を嘗めっこをして居やがって、食い余しを取っとき物の様に、お次ぎへお次ぎへと廻して居りゃ、それで人間かい。畢竟芝居上手が....
千早館の迷路」より 著者:海野十三
ら、お礼にこれをあげよう」と、帆村は二三枚の紙幣を老婆の手に握らせ「まあいいよ。取っときなよ、いくらでもないんだ。……それからもう一つ、二十五日の晩か二十六日の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
なるというわけじゃあるまい、だから、こうなると三両が大したものだ、さあ、遠慮なく取っときな」 そこで今度は、右の男が、眼を円くしてしまいました。 この人は何....
初冬の日記から」より 著者:寺田寅彦
同情すべき役割であり、この喜劇での儲け役であろう。 さていよいよ夕刊売りの娘に取っときの切り札、最後の解決の鍵を投げ出させる前に、もう一つだけ準備が必要である....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
様が万事にお執成し、何ともお礼の申そうようもございませぬ」 とお町は気も軽く、取っときの茶を仕立てゝ親切に扱うて居ります。 二十二 この時亥太郎は、 ....
次郎物語」より 著者:下村湖人
、私はもう知らんぞ。生徒監室に引渡すが、それでいいのか。」 先生は、早くもその取っときの奥の手を出すことを余儀なくされた。次郎は、それで、やっと口をきくにはき....
胎内」より 著者:三好十郎
のか? 佐山 ……ほしくないことはないんですけど――でも―― 花岡 よし来た――取っときな、じゃ! (ボストン・バッグを引きよせてサッと開き、その中にハダカで詰....