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取上げる
「取上げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
取上げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
誰も見ていないなと思うと、手早くその箱の蓋を開けて藍と洋紅との二色《ふたいろ》を
取上げるが早いかポッケットの中に押込みました。そして急いでいつも整列して先生を待....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
んでした。細田氏は四辺をキョロキョロと見廻しましたが、身を屈めて例の黒い三角形を
取上げると、クルリと後へ向いて再び門の中に消えてしまったのです。それから五分たっ....
「蠅男」より 著者:海野十三
いられよう。彼女は素早く身辺を見廻し、机の上に載って居た亡き父の肖像入りの額面を
取上げるより早いか二人の方に駆け寄り蠅男の顔面目掛けて発止と打ち下ろした。 「う....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
り気付かなかったのだが、先刻ここへ来た時に持って来て置いたらしい大型の撥形鶴嘴を
取上げると、喬介の眼前へ差出しながら、 「やはり有りましたよ。こいつでしょう? ....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
文すると思ったら、何故その時に注意せぬ」 「成程、之は一本参った」 「出来てから
取上げるとは、みす/\俺の懐中を痛めるのではないか」 「うむ、お前の云う所は尤も....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
処を合点して何にも徹底することの出来る人だったからであろう。しかも油筒如き微物を
取上げるほどの細かい人かと思えば、細川越中守が不覚に氏郷所有の佐々木の鐙《あぶみ....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
が注ぎ入れられた。その中へ白いガーゼを浸して、たっぷりと液を吸わせた。女はそれを
取上げると、画面へぶっつけて、二三度こすった。 すると横向きになっている右端の....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
何かを入れて、中に大判小判を沈ましてあって、いくばくか金を出して塗箸で大判小判を
取上げるので、
取上げる事が出来れば、大判小判が貰えるという興行物がありました。ま....
「独本土上陸作戦」より 著者:海野十三
、大いに酩酊せり」 「ふん、大いにやっとるな」 と、ゴンゴラ将軍は次の報告書を
取上げる。 「金博士は、本日午後二時十五分より、カセイ・ホテルに現れ、飲酒三時間....
「暗号数字」より 著者:海野十三
なければならなかった。 あらゆる秘密通信機関を探しだして、これを諜報者の手から
取上げることも、焦眉の急を要することだった。幸いわが国の通信事業は官庁の独占また....
「おせん」より 著者:邦枝完二
、肚一|杯にかぐとしようか」 春重は傍らに置いた紅の糠袋を、如何にも大切そうに
取上げると、おもむろに口紐を解いて、十ばかりの爪を掌にあけたが、そのまま湯のたぎ....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
やがて男の腕から顔を上げた。 ――あなた、カジノの賭博から、フランス政府はいくら
取上げるのだと思って? ――知らないね。 小田島は経済学を専攻して居てもまだ賭....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
いだろうがね、それは元々の契約というものは、君が万一家賃を払えない場合には造作を
取上げるとか家を釘附けにするとかいうことになって居るんではないのだからね、相当の....
「J・D・カーの密室犯罪の研究」より 著者:井上良夫
単に触れておいてから、尤もらしくない、こじつけの王座にあるところの密室内の犯罪を
取上げる。 「秘密の通路に類するアンフェアな解決法は一切廃して、密室犯罪の解決法....
「審判」より 著者:カフカフランツ
任に大切なものも、彼にはなんでもないものだったからである。そしてそれをKの手から
取上げると、言った。 「ありがとう、もうみんな承知しています」 そして、またそ....