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「取払い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

取払いの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
老ハイデルベルヒ」より 著者:太宰治
ます。せめて様々の料理を取寄せ、食卓を賑かにして、このどうにもならぬ陰鬱の気配を取払い度く思い、 「うなぎと、それから海老《えび》のおにがら焼と茶碗蒸し、四つず....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
で借りて、あらん限りの毛布を敷きつめた。家のまわりも一わたり掃いた。隔ての唐紙を取払い、テーブルを一脚東向きに据え、露ながら折って来た野の草花を花瓶一ぱいに插し....
駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
学製造業に従事する気にもなれないドッチ附かずの中途半端の我々は、丁度市区改正の時取払いになるお城の石垣と同様なものではあるまい乎。市街の子たる我々の頭は郊外生活....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いいかね」 「どうか、よくお調べなすって」 七兵衛は目釘を外して、柄《つか》を取払い、その切ってある銘《めい》を調べて見ると、 「武蔵太郎安国――待てよ、こい....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、ちょうど、河原で花火が揚り出したものですから、子供らは、与八の周囲に積んだ石を取払い、今まで下積みにしたお礼心でもあるまいが、大勢して、与八を胴上げにして河原....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
何か知らない重圧力が、自分の頭と胸とに加わっていて、それが、眼がさめた後も、急に取払いきれない、その重圧のために、失神したもののように、暫く官能が停滞状態に置か....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
ず、ムダ口をきいているだけのことだ。 「その商売というのが、秘中の秘ですが、先に取払いになったマーケットね。あれを今回オカミの手で、まア、何々公団というようなと....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
ず、是に寄りて西入船町を限り、東吉祥寺前に至るまで凡そ長さ二百八十間余の所、家居取払い空地となし置くものなり。 と記して傍に、寛政六年|甲寅十二月 日とある石....
白い蝶」より 著者:岡田三郎助
長く続いていて、一方の川の端は材木の置場である、何でも人の噂によると、その当時|取払いになった、伝馬町の牢屋敷の木口を此処へ持って来たとの事で、中には血痕のある....
日和下駄」より 著者:永井荷風
初年神仏の区別を分明《ぶんめい》にして以来殊には近年に至って市区改正のため仏寺の取払いとなったものは尠《すくな》くない。それにもかかわらず寺院は今なお市中|何処....
すみだ川」より 著者:永井荷風
。 「実はね。」とお豊は同じ言葉を繰返して、「駒込《こまごめ》のお寺が市区改正で取払いになるんだとさ。それでね、死んだお父《とっ》つァんのお墓を谷中《やなか》か....
濹東綺譚」より 著者:永井荷風
辺に櫛比《しっぴ》していた楊弓場《ようきゅうば》銘酒屋のたぐいが悉《ことごと》く取払いを命ぜられ、現在《いま》でも京成バスの往復している大正道路の両側に処定めず....
」より 著者:永井荷風
《ひとどおり》のない金剛寺坂上《こんごうじさかうえ》の往来、一方はその中《うち》取払いになって呉《く》れればと、父が絶えず憎んで居る貧民窟《ひんみんくつ》である....