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取止
「取止〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
取止の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
ってしまわねばならぬと云う様な、はっきりした意識も勿論ないのだ。言わば未《ま》だ
取止めのない卵的の恋であるから、少しく心の力が必要な所へくると話がゆきつまってし....
「「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
は一日々々と長大して大毒蛇のように遂にわたしの霊魂に絡みついた。 そうして自ら
取止めのない悲哀を持ちながらムカ腹を立てずにいた。経験は反省を引起し、自分をよく....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
見することと決め、この旨返電した。 それから後は、サンキス号はオルタへの入港を
取止め、そして秘密航海の途についた。またワーナー博士一行の存在もまた秘密に保たれ....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
るごとく、至って御性急でおわします。三島の社の放し鰻を見るように、ぬらりくらりと
取止めのないことばかり申し上げていたら、御疳癖がいよいよ募ろうほどに、こなたも職....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
来に就て種々考えてみましたが、前にもいう通り、頼家所蔵の舞楽の面というの他には、
取止めた鑑定も付きません。 頼家は悲劇の俳優です。悲劇と仮面……私は希臘の悲劇....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
乏は昔から君の附物じゃなかった?」 「……そうだ」 二人は一時間余りも斯うした
取止めのない雑談をしていた。その間に横井は、彼が十年来続けてるという彼独特の静座....
「幾度目かの最期」より 著者:久坂葉子
気で死ぬなら、どうして黙って行かないのかと。一体行く気持の原因はそんなに軽々しく
取止めることの出来るものであったのかと。私は、ほとんど話をきいておりません。唯も....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
うは皆さんが阿房になっておいでになるから、
お前襟を開けていて御覧。どなたか
お
取止申すことが出来るかも知れぬからね。
(若き、美しき女友達来てこれに加はり、....
「観画談」より 著者:幸田露伴
クスの靴という扮装で、五里七里歩く日もあれば、また汽車で十里二十里歩く日もある、
取止めのない漫遊の旅を続けた。 憫むべし晩成先生、|嚢中自有然として夕陽の山路....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
せていただき、その説明をも聴いて、時の立つのを忘れるのでした。お母様のお部屋では
取止めもないことを語合って、つい笑い声も立てました。暇乞をすると、用がないからと....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
の材料は持っていない。 暢んびりした気持になって櫓の周りに寝転びながら、皆して
取止めもない浮世話に耽る。南日君は柱の一本に「八月二十日南日三人」と刻まれた文字....
「科学に志す人へ」より 著者:寺田寅彦
喜びを味わうために生涯を徒費しても惜しいと思わないような「遊蕩児」のために、この
取止めもない想い出話が一つの道しるべともなれば仕合せである。(昭和九年四月『帝国大学新聞』)....
「書簡(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
うところが相通じているかは分析出来ませんが、何となくそう思われました。 こんな
取止めもない事では雑誌に載せて頂くのは如何かと存じますが御返事までに申上げます、....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
立ちいずれば吹き上ぐる朝嵐に藁帽飛んでぬかるみを走る事|数間、ようやく追い付きて
取止めたれど泥にまみれてあまり立派ならぬ帽の更に見ばえを落したる重ね/\の失敗な....
「或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
―無気力を証明された痛ましい一夜から、じかにつながってきてるものだった。いろんな
取止めもない妄想に耽りながらも、どうなるかなるようになってみろ! と捨鉢などん底....