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「取留め〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

取留めの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
主税には唐突で、即座には合点しかねるばかり、お蔦の方の意気込が凄じい。 まだ、取留めた話ではなし、ただ学校で見初めた、と厭らしく云う。それも、恋には丸木橋を渡....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
瓜の皮が、化けて脚が生えて、むくむくと動出しそうなのに、「あれ。」と飛退いたり。取留めのないすさびも、この女の人気なれば、話せば逸話に伝えられよう。 低い山か....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
。) 宗吉は学資もなしに、無鉄砲に国を出て、行処のなさに、その頃、ある一団の、取留めのない不体裁なその日ぐらしの人たちの世話になって、辛うじて雨露を凌いでいた....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
耳飾を飾った支那の夫人の姿だとも言って、現に見たものがそこにある筈のものを、確と取留めたことはないのでございますが、手前が申すまでもありません。いわゆる、流れも....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
である。 明は少し俯向いた。瘠せた顋に襟狭く、 「そのお話と云いますのが、実に取留めのない事で、貴僧の前では申すのもお恥かしい。」 「決して、さような事はござ....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
、長い間煩らって、寝ていたんだ。それから行方が知れなくなったよ。」 子供芝居の取留めのない台辞でも、ちっと変な事を言う。 「へい。」 舞台の饂飩屋も異な顔で....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
花の散ったのは、雨か、嵐か、人に礫を打たれたか、邪慳に枝を折られたか。今もって、取留めた、悉しい事は知らないんだが、それも、もう三十年。 ……お米さん、私は、....
縁結び」より 著者:泉鏡花
乳のあたりがふっくりとなる。 「余り気を入れると他愛がないよ。ちっとこう更っては取留めのない事なんだから。いいかい、」 ともの優しく念を入れて、 「私は小児の....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
にね、こうといって、まだ此家へ来て、そんなに間もないこったから、どこにどうという取留めたこともないけれど、ただね、髯の様子がね、亡なった姉様の亭主に肖ているから....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
意中の人は捕縛されつ。 その時既に精神的絶え果つべかりし玉の緒を、医療の手にて取留められ、活くるともなく、死すにもあらで、やや二ヶ月を過ぎつる後、一日重隆のお....
黒百合」より 著者:泉鏡花
いら詰らねえことをしたぜ。」 と投げるようにいって、大空を恍惚りと瞶めた風情。取留めのない夢の想で、拓はこの時少年がお雪に向ってなす処は、一つ一つ皆思うことあ....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
て下さい。」 を遣りかねまい、と独りで拵えて、独りで苦笑した。 寝覚の思いの取留め無さも、酒精浸の蝮が、瓶の口をば開けて給べ、と夢枕に立った、とまでになる、....
化鳥」より 著者:泉鏡花
するのとかわりは無いので。詮ずれば皆おかしいばかり、やっぱり噴飯材料なんで、別に取留めたことがありはしなかった。 で、つまり情を動かされて、悲む、愁うる、楽む....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
逢違いはしないだろうね、履物はあるし、それにしちゃあ、」 呼び上げておきながら取留めたことを尋ねるまでもなく、お縫は半ば独言。蓋のあいた柳行李の前に立膝になり....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
目、四日目、時としては続いて毎日来た。来れば必ず朝から晩まで話し込んでいた。が、取留めた格別な咄もそれほどの用事もないのにどうしてこう頻繁に来るのか実は解らなか....