取直し[語句情報] »
取直し
「取直し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
取直しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
き》になって勝負に耽《ふけ》っていた。若い者は一寸《ちょっと》誘惑を感じたが気を
取直して、
「困るでねえか、そうした事|店頭《みせさき》でおっ広《ぴろ》げて」
....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
の奴民子が居ないから考え込んで居やがると思われるも口惜《くや》しく、ようやく心を
取直し、母の枕元へいって夜遅くまで学校の話をして聞かせた。 翌《あ》くる日は九....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
周章《あわ》てることはない」 「ふうむ、それもそうだな」とドレゴは、ようやく気を
取直した。 「無線機の用意はすっかり出来ているよ。さあ、今こそ君は光栄ある報道者....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
、傍を見ると、年若い参謀は、満面を朱にして、拳を握っていた。参謀長は、はッと気を
取直した。 「草津参謀」彼は一人の参謀に呼びかけた。 「帝都の火災は、どういう状....
「蠅男」より 著者:海野十三
ている。 帆村はそれをやんわりと受取って、彼女の自制を求めた。糸子はすこし気を
取直したように見えたが、こんどは帆村の胸にすがりつき、 「――たった一人の親の大....
「食魔」より 著者:岡本かの子
ものしか食べることを許さぬ彼は、家族が自分の掟通りにしていることに、いくらか気を
取直したらしい。 「ふ、ふ、ふ、いもをどんな煮方をして食ってやがるだろう。一つ試....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
と、喜兵衛はあわてた。見つけられたが最後、もう猶予は出来ない。彼は持っている槍を
取直してただひと突きと繰出すと、弥次右衛門は早くも身をかわして、その槍の穂をつか....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
て、軽く咳払いをした。 烏啼は「あッ」と叫んで、振り向きざま手馴れたピストルを
取直し、あわや引金を引こうとして、危いところで辛うじてそれを思い停った。 「やあ....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
、さっきと同じ水銀灯だ」 なるほど例の気味の悪い白っぽい光だ。 帆村は洋杖を
取直して、そっと犬くぐりの穴から中へさし入れた。 ぴしりッ。再び手応えあって、....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
すと、瓦斯の遠灯にちらりと飜る。 「少づくりで極りが悪いわね。」 と褄を捌いて
取直して、 「極が悪いと云えば、私は今、毛筋立を突張らして、薄化粧は可いけれども....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
といって下すった、あなたのためなら。……飛んだ門破りの板額ですね。」 渚が傘を
取直して、 「武器は、薙刀。」 「私は、懐剣。」 二人が、莞爾。 お京の方が....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
に立ってるなあどいつだ。やっぱり乞食か、ええ、意気地が無いな。」 するりと槍を
取直し、肩に立懸け杖つきつつ、前に屈みて、突出せる胸の紅の襯衣花やかに、右手に押....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
て、首を低れると、再び真暗になった時、更に、しかし、身はまだ清らかであると、気を
取直して改めて、青く燃ゆる服の飾を嬉しそうに見た。そして立花は伊勢は横幅の渾沌と....
「活人形」より 著者:泉鏡花
げど、それかと見ゆる影も無く、森々と松吹く風も、助けを呼びて悲しげなり。屹と心を
取直し、丈に伸びたる夏草を露けき袖にて押分け押分けなお奥深く踏入りて忍び込むべき....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
せん。もしやって失敗しても、その失敗したわけがよく判るようになりますから直ぐ気を
取直します。また案外うまく行ったからとて、調子に乗って長追いをしません。あるいは....