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「取立て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

取立ての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
食魔」より 著者:岡本かの子
才能まで、その芽を※から味の調不調の結果がひとりでに見分けられるらしい。食慾だけ取立てられて人類の文化に寄与すべく運命付けられた畸形な天才。天才は大概片端者だと....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
に続いて来た。雨はまだやまなかった。 最後の丁禹良はやや魯鈍に近い人間で、特に取立てて語るほどの事もなかったが、いわゆる馬鹿正直のたぐいで、これも忠実勤勉であ....
人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
前には黙っていたが、こんどの人造人間戦車が、満足すべき実績を示した暁には、お前を取立てて、副主席にしてやろうかと考えているんだ。しかし実績を見ないうちは、お前は....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
った―― その翌月、急病で斎木国手が亡くなった。あとは散々である。代診を養子に取立ててあったのが、成上りのその肥満女と、家蔵を売って行方知れず、……下男下女、....
南地心中」より 著者:泉鏡花
に、旦を説付けて、たちまち大店の手代分。大道稼ぎの猿廻しを、縞もの揃いにきちんと取立てたなんぞはいかがで。私は膝を突つく腕に、ちっとは実があると思うんですが。」....
旧作」より 著者:上村松園
しくもあり、人間として一番尊いものであることを近習にさとし――その十八歳の息子の取立てを断わられたという。 私はときどきそのことを憶って、 「さすがに加賀公は....
備前天一坊」より 著者:江見水蔭
く我等を世話してくれたら、過分の御褒美は勿論の事、次第に依ってはその方を士分にお取立てがあるかも知れぬが……や、緑なき衆生は度し灘し。どうも致し方の無い事じゃ。....
怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
祓をなさいまして、それから当日まで斎にお籠りで、そういう縁故から品川の漁師達も、取立ての魚を神前へお供えに持って参りまするが、同じ持って行くのならたくさん持って....
荘子」より 著者:岡本かの子
く母にも死に訣れた麗姫は引取られ后宮に入れて育てられた。いずれ王の第二の夫人にも取立てられる有力な寵姫になるだろうと思われているうち、この王が歿し麗姫は重臣達の....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
いう意図からか、何かの軍需工業を興すについて、まずその資金の調達、すなわち貸金の取立てに着手したとのことだった。 噂はやがて事実となって現れはじめた。祖父、曾....
三枚続」より 著者:泉鏡花
に性質となったのである。もっとも有数の秀才で、およそ年紀二十ばかりの時から弟子を取立てた。十年一日のごとく、敬すべき尊むべき感謝すべき心懸けであるから、音楽に長....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
女の売るのは、小形のしおらしい蟹で、市の居つきが荷を張ったのではない。……浜から取立てを茹上げて持出すのだそうで、女護島の針刺といった形。 「こうばく蟹いらんか....
画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
ったそうな、癪に障ると云うような風情で、身を斜めにして私の方をジロリと睨んだ顔、取立てて美人と賞讃すほどではないが、確に十人並以上の容貌で、誠に品の好い高尚い顔....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
は簡単だった。時代並みの商人になればそれでよかったのだ。貸越しをもう少し催促して取立て、前借りをもう少し引緊めて拒絶する。その代り売値の価を廉くする。この手心一....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
ど、ええもんや』と早くも納得して帰ってきた。石炭屋の外交を始めてからは、売込みも取立ても人一倍の働きだったから金の方も多少は回った。で、夜になると仲仕の兼助の手....