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「取越し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

取越しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
屋の者に引留められましたが、初七日までも居りませんで、精進物で馳走をして初七日を取越して供養をいたし、伯父が住《すま》いました其の家は他人に譲りましたから、早々....
縮図」より 著者:徳田秋声
今年は凶作でなければいいがね。」 素朴で単純な性格を、今もって失わない銀子は、取越し苦労などしたことは、かつてないように見えた。幼少の時分から、相当生活に虐げ....
新世帯」より 著者:徳田秋声
が※弱いところへ、今年は別して寒じが強いのと、今一つはお作が苦労性で、いろいろの取越し苦労をしたり、今の身の上を心細がったり、表町の宅のことが気にかかったり、そ....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
くなってきた世に、初松魚の賞美さるるも、既にここらが最期だろうとの心配は、先ずは取越し苦労で、江戸趣味の残る限り、江戸ッ児の子孫の続く間は、吾儕より初松魚を除く....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
なかったといって、誰も弁信さんを恨むわけのものじゃありません、それでは、あんまり取越し苦労というものが過ぎますね」 「いいえ、いいえ、善い心がけでしたことが、悪....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ないものを――いやなおかみさんのは、もとよりホンの冗談《じょうだん》であります。取越し苦労にも程のあったもの。 わたしは沼へでも遊びに行って、この気散じを致しま....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
どんな人がいつ来るであろう。来たところで、なんでもないはず。それをお吉は、自分で取越し苦労をして、なんだかすっかり、自分がだまされてしまったようにも思われてなら....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
刺されるような痛みを覚えますが、それでも暫くするとおかしくなって、弁信さんらしい取越し苦労を笑います。 わたしに笑われて、あなたは口惜《くや》しいとお思いにはな....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
だのが、代って受けてくれてしまったのではないか。今に始まったことでない弁信さんの取越し苦労――それを他事《よそごと》に聞いていたのが、追々にわが身に酬《むく》っ....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
い。もしや出さきで我が子の上に何か変わったことでも出来たのではあるまいかなどと、取越し苦労に半時間ほどを過ごしたかと思う頃に、人力車の音がだんだんに近づいて来た....
自由人」より 著者:豊島与志雄
だし、娘は二人とも世の中のことを知らないし、困ることが多いだろうと思って、ばかな取越し苦労をするんだよ。そこへゆくと、君なんか、いつも呑気でいいね。」 「それも....
有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
どく寂しい。もしや出先で我が子の上に何か変ったことでも出来たのではあるまいかと、取越し苦労に半時間ほどを過したかと思う頃に、人力車の音がだんだんに近づいて来た。....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
皺の織り込まれたのを、お菊は少し嘲るようにほほえみながら眺めた。 「何の、お前が取越し苦労。殿様は白柄組の中でも指折りの剣術の名人、宝蔵院流の槍も能く使わるると....
接吻」より 著者:神西清
何故とはなしに、きっとあの女に会えるぞとささやくのだった。……そうなるといろんな取越し苦労が彼をなやました――どんな工合にあの女に出くわすことになるだろう? あ....
審判」より 著者:カフカフランツ
はそれがほんとうに始まってから信じ、たといいっさいの危険が迫っても、将来のことは取越し苦労しない、という傾向であった。ところが今の場合、それは正しくないように思....