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「取返し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

取返しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
報恩記」より 著者:芥川竜之介
にこう云いました。 「もうこの羽目《はめ》になった上は、泣いても喚《わめ》いても取返しはつかない。わたしは明日《あす》にも店のものに、暇《ひま》をやる事に決心を....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
せなくもよいのに、この母が年|甲斐《がい》もなく親だてらにいらぬお世話を焼いて、取返しのつかぬことをしてしまった。民子は私が手を掛けて殺したも同じ。どうぞ堪忍し....
婦系図」より 著者:泉鏡花
て、貴女には軽々しくお目に懸る事も出来ませんし、そうかと云って、打棄って置けば、取返しのなりません一大事、どうしようかと存じておりました処へ、実に何とも思いがけ....
三角形の恐怖」より 著者:海野十三
へと三角形の恐怖の段取りを進めて行ったのです。それが為めに到頭後に御話するような取返しのつかない事件をひきおこしてしまったのでした。 兎も角、それ以来というも....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
な吃驚、といった形で、漁夫らが屈腰に引返した。手ぶらで、その手つきは、大石投魚を取返しそうな構えでない。鰌が居たら押えたそうに見える。丸太ぐるみ、どか落しで遁げ....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
ないほどの、禍が落ちてくるかもしれない。皆急いで力を合わせ、一生懸命にやらねば、取返しのつかないことになるように思う。皆さんも重大なる覚悟をしていてくださいよ」....
火星兵団」より 著者:海野十三
んでしまうつもりだった。そんな悲壮な決心を固めた課長は一夜明けるとたちまち元気を取返し、さっそく博士にすすめられた通り突撃隊を編成し、これに博士の発明したガス弾....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
れど……どんな発機で、自棄腹の、あの人たちの乱暴に、貴方に怪我でもさせた日にゃ、取返しがつかないから、といま胸に手を置いて、分別をしたんですよ。 さ、このまま....
転機」より 著者:伊藤野枝
から紙を出して、よほど乾いてきた泥をふいて草履をはいた。二人はやっとそれで元気を取返して歩き出した。 日暮れ近い、この人里遠い道には、私達の後になり先になりし....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
わん、」 と激しく言いつつ、心づいて、悄然として僧を見た。 「ただその、手毬を取返したのは、唄は教えない、という宣告じゃあなかろうか、とそう思うと情ない。 ....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
せば、悪い夢とあきらめて、思い直して頂けることもあろうかと思ったですが、いかにも取返しのつかんお身体にしたのじゃった、恥入ります。 夫人、貴女ばかりは殺しはせ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
なに力を落すだろう。お前さんばかりじゃない、人のことより僕だって大変だ。死んでも取返しのつかないほど口惜しいから、心にだけも盲目になったと思うまい、目が見えない....
風波」より 著者:井上紅梅
とは出来なかったが、何しろ学問のある七爺がこんな風にいうのだから事情が大変面倒で取返しのつかぬものと察し、まるで死刑の宣告を受けたように、耳朶の中がガアンとして....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ねたは決して無理はなかった。が、このまま滞留すれば病気は益々重るばかりで、終には取返しが付かなくなるのが看え透いていながら万に一つ帰朝すれば恢復する望みがないと....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
のはまかりならぬ」というきつい文面である。 こんな落着きのない日を送っていては取返しのつかない気もしてきた。こうなるともうじっとしていられないのが私の性分であ....