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受動性
「受動性〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
受動性の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
い女の、あわれさと醜さを見せているのだ。 あわれさとは手術台に横たわる宿命的な
受動性! 醜さとは、醜さを意識しない官能の脆さ、好奇心! しかし、このあわれ....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
の一元的|平衡《へいこう》を破ることによって、異性へ向う能動性および異性を迎うる
受動性を表現する。しかし「いき」の形相因たる非現実的理想性は、一元的平衡の破却に....
「現実と文学」より 著者:宮本百合子
ことがとりあげられた。それは要するにその点の再吟味であり、散文精神が今日の文学の
受動性の枠づけとならぬよう、文学のリアリティーを風俗小説の範囲にとじこめぬよう、....
「「或る女」についてのノート」より 著者:宮本百合子
ける結婚が女の生涯を縛りつけた重みの中には、生まされた子を育てるという悲しむべき
受動性も勘定に入れられなければならないだろう。 葉子の鋭い感情の中でこの生々し....
「新しい船出」より 著者:宮本百合子
代の教会はやはり女を地獄と一緒に罪業の深いものとして、女に求める女らしさに生活の
受動性が強調された。 十九世紀のヨーロッパでさえ、まだどんなに女の生活が女らし....
「“子供の本”について」より 著者:宮本百合子
と思う。隅から隅まで語りつくされているこせこせした頁を明けくれ眺めて、子供の心は
受動性ばかりつよめられてゆくだろう。小学校一年生の算数の本にもこの紙面にスペース....
「新しい一夫一婦」より 著者:宮本百合子
暮に憤る代りに、肩をすくめ、目交ぜし合い、やがて口笛を吹いてゆくような新らしげな
受動性。あるいは「女の心」に扱われているような至極手のこんだデカダニズムなど。そ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
をドイツからイギリスの或る女作家に書いた人の手紙が出たからと云って急に瑣末描写と
受動性のお守りにつかおうとするようなのがいやで、腰をすえて、そのバルザックの矛盾....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ている要点(云われた通りを真《ま》にうけたりしたこと。)そのことにあらわれている
受動性や曖昧さは十分認めて居ります。その点私は誤っていたし、真の自律性をもたなか....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
郎は庶民にかえれ、と云っている。精神を庶民の精神にしろ、というのですが、そこでは
受動性の肯定で云われて居ります。文芸面もそういう工合です。 病気の手当法につい....
「最近日本の科学論」より 著者:戸坂潤
の思想的な嗜好は、云わば「自由主義」的である。と云うのは一方に於てリベラーレンの
受動性と限界性とを有つと共に、他方に於てデモクラットとしての積極性を有つわけで、....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
のである。自分自身の運命が彼らには遠いものである。そういう頭脳の集中からは一種の
受動性が生ずるもので、それが理知的になると哲学に似寄ってくる。衰微し、零落し、流....
「哲学入門」より 著者:三木清
境から規定されている。けれども反応することは我々の能動性に属している。即ち経験は
受動性であると同時に能動性である。我々の行為はただ或る意味においてのみ環境の刺戟....
「言語は生きている」より 著者:中井正一
はそれ自体に内在する固有の受け身の(機)(passio)原因となる。この理性の
受動性である感覚にそれが関係しはじめると、それは、ただの受身ではなくなり、真直ぐ....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
顔を見たことのない男に、体を許しますね。好きでもないのに。これは実に驚くべき女の
受動性ですよ。こういう女特有の神経はものを書く人間にとっては驚異です。いや、もの....