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叙する
「叙する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
叙するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
托した。それゆえ彼等は悠久に山と共に鎮《しずも》り、峯に纏《まと》って哀愛の情を
叙することができる。 翁はその多くのこどもを西国の名だたる山に、ほぼ間配《まく....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
論派〔または国粋論派〕および保守論派の二派に過ぎず。しかれども吾輩はこの新論派を
叙するに先だちて名称の新しき他の三論派すなわち大同論派、自治論派、皇典論派を略説....
「運命」より 著者:幸田露伴
なるが、八犬伝弓張月に比して優るあるも劣らざるものを侠客伝と為す。憾むらくは其の
叙するところ、蓋し未だ十の三四を卒るに及ばずして、筆硯空しく曲亭の浄几に遺りて、....
「木下杢太郎『唐草表紙』序」より 著者:夏目漱石
」の冒頭に出てくる燕《つばめ》の飛ぶ様子や、「夷講《えびすこう》」の酒宴の有様を
叙するくだりに出会った時、大変驚ろいたのです。二つのものは平生のあなたの筆で書き....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
供心を可笑く思うばかりである。 けれどもそれが今もなお存していたら、今昔の感を
叙する種にもなったろうが、ちょうどそれを書き終った頃に、父が江戸から帰って来て、....
「失われた半身」より 著者:豊島与志雄
とははっきり分っていたのである。だから実は、彼に敬意を表する気持ちよりも、久闊を
叙する気持ちから、ウイスキーをふるまってやったものらしい。 おれの気附薬を混じ....
「鸚鵡のイズム」より 著者:寺田寅彦
も書くとすればどうだろう。つまりはヘレン・ケラーが雪景色を描き、秋の自然の色彩を
叙すると同じではあるまいか。 ここまで考えたが、事によるとこの最後の比較は間違....
「明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
のために万歳を三呼せずんばあらず!」と云い得ている。だから彼は、威海衛の大攻撃を
叙するにあたって熱を帯びた筆致を駆使し得ているのである。そして、彼が軍艦に乗り組....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
た頃になると、落涙を禁じ得ない。 前編に大体の伝記を述べて、後編に研究の梗概を
叙することにした。 大正十二年一月著者識す。 前世紀の初めにロンドンの....
「『鉢の子』から『其中庵』まで」より 著者:種田山頭火
う気持でなければこういう生活が出来るものでない。しかしこれらの事実や気持の奥に、
叙するよりも、述べるよりも、詠うべき或物が存在すると思う。 ようやくにして、場....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
のがあった。 沼南には最近十四、五年間会った事がない。それ以前とて会えば寒暄を
叙する位の面識で、私邸を訪問したのも二、三度しかなかった。シカモその二、三度も、....
「上野」より 著者:永井荷風
景は池之端七軒町から茅町に到るあたりの汀から池を見たものであろう。作者は此の景を
叙するに先だって作中の人物が福地桜痴の邸前を過ぎることを語っている。桜痴居士の邸....
「芸術は革命的精神に醗酵す」より 著者:小川未明
者は、その最もいゝ例である。 人情の機微を穿つとか、人間と人間の関係を忠実に細
叙するとかいうのも、この世の中の生活様式を其の儘肯定しての上のことである。彼等は....
「賤民概説」より 著者:喜田貞吉
だし少からぬことであろう。今はただ過去における落伍者の動きの大要をかいつまんで略
叙するに止め、その詳細なる発表は、さらに他日の機会を待つことにする。....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
な平凡な主観を暴露した月並的な句を作れと強いるわけではないけれども、簡単な景色を
叙する上においても、わずかに一字一句の上にその作者の頭の味というものは知らず識ら....