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口に上る
「口に上る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
口に上るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「道草」より 著者:夏目漱石
張して、気の弱い兄を苦しめた。 「なんて捌《さば》けない人だろう」 陰で批評の
口に上るこうした言葉は、彼を反省させるよりもかえって頑固《かたくな》にした。習俗....
「新生」より 著者:島崎藤村
》い雨が通過ぎた後の町々の続いた屋根が彼の眼に映った。噂好《うわさず》きな人達の
口に上ることもなしに、ともかくも別れて行くことの出来るその朝が来たのを不思議にさ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
幕府の注意人物を家にかくして置いたりする半蔵が友だち仲間の行動は、とやかくと人の
口に上るからで。この父に言わせると、中津川あたりと馬籠とでは、同じ尾州領でも土地....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ぶりで上京した半蔵をつかまえて、いろいろと東京の話をして聞かせるが、寄席の芸人が
口に上る都々逸の類まで、英語まじりのものが流行して来たと言って半蔵を笑わせた。お....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
れ程歴史のあるものだということが云いたいのである。今日のヒューマニズムが評論家の
口に上るようになったのは遂一二年程前からだと云っていいだろう。だが勿論今日のヒュ....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
ものが何を意味するかは後にして、所謂新官僚という観念は岡田内閣の成立当時から人の
口に上るようになった。世間の噂さによると、その前の斎藤内閣が辞職する数カ月前にす....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
すさ》んだ有様がありありと見えます。出入りの誰彼との間に、いろいろとよくない噂が
口に上るようになりました。或いは当主の主膳と、このお絹との間柄をさえ疑うものが出....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ってみようというようないたずらは、今に始まったことではないが、さいぜんから二人の
口に上る甚内様というのは何物か。それは今までに見えなかった人の名であるに拘らず、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
してよい言葉が見当たらないので、いつも軽佻という言葉をくり返していた。それは彼の
口に上ると、同国人の多くの者の
口に上る時と同じく、特別にありがたくない意味を帯び....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
って、種族がおのれを表現するのはその言語においてである……。ある顔だちの線とその
口に上る言葉との間の不断の対照。たとえばある若い女の横顔は、さっぱりした輪郭をし....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
に春子の顔を描いていた。 村の夏祭が近づいて、大川端で行われる花火の噂が村人の
口に上るころになると、子供たちも薬屋から硝石と硫黄とを買って来て、それに木炭の粉....
「蔵の二階」より 著者:豊島与志雄
介が尋ねるのに応じて、美津子との破談の理由を打ち明けた。白壁造りの普請のことは、
口に上る隙がなかったらしい。材木代や建築費はさし当って木村が立替えておいてもよい....
「緑色の太陽」より 著者:高村光太郎
MMUNG(情調)を味いたいのである。僕の心のこの要求は、僕を駆って、この頃人の
口に上る地方色というものの価値を極小にしてしまったのである。(英語にいう LOC....
「『田舎教師』について」より 著者:田山花袋
きをきいているように思った。 「悠々たる人生だ」 こうした嘆声がいつとなく私の
口に上るのであった。 戦場でのすさまじい砲声、修羅の巷、残忍な死骸、そういうも....
「我が円朝研究」より 著者:正岡容
まされては、それほどに凄くも怖しくも感じられない怪談が、高座に持ち出されて圓朝の
口に上ると、人を悸《おび》えさせるような凄味を帯びてくるのは、じつに偉いものだと....